お堅い教官に女殺しを・1
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、その翌日。予定通り秘書艦は神通。実戦だけでなく事務作業も結構得意な神通の尽力もあって、執務はつつがなく終了。しかしよく観察してみれば那珂の言う通り、書類仕事をしながら肩を回してみたり目頭を抑えてみたり、溜め息を吐いてみたり……相当に疲れているらしい。これは那珂の提案が無くともやるべきだと判断した。
「あ〜……神通?」
「はい、何でしょうか提督?」
執務を終えて机の上を片付けていた神通に声を掛ける。
「実はな、今年もお中元で大量に酒を貰ったんだ。しかし店に出すのも惜しい位な高級品も混じっててな……どうかな?今晩俺の一人酒に付き合っては貰えねぇか」
「そういうのは、正妻である金剛さんをまず誘うべきでは?」
「まぁ、それもそうなんだが……神通。お前ケッコンしてから俺に遠慮してるだろ?実は人一倍甘えん坊なお前が」
俺がそう言うと、神通は俯いて黙り込んでしまった。一部で鬼教官なんて言われてる神通だが、実の所人一倍寂しがり屋で甘えん坊な所がある。厳しい訓練を課すのも仲間を喪いたくないという怯えからだ。姉妹の他には付き合いの長い俺くらいにしか見せん顔だがな。
「それにお前だってカッコカリとは言え俺の嫁なんだぞ?たまには肩の力を抜いて、旦那に甘える事くらい覚えろ。な?」
「でしたら……今夜一晩、ご相伴に預かります」
「よっしゃ、決まりだ。んじゃ早速準備するかね」
執務室のドアの外側に『本日臨時休業』の貼り紙を貼る。元々趣味でやってる店だから、俺の気分で臨時休業になったとしても文句は言わせん。……ブーブー文句言う奴が居ないとは言ってない。むしろ沢山いるだろう。そして早霜にも臨時休業だと連絡を入れておく。後は執務室の内装をいつものバーカウンターモードにすれば準備は完了だ。
「さて、と。何してんだ神通?早くこっちこい」
「……え、カウンターに立つのではないのですか?」
俺は店内のカウンターではなく、テーブル席のソファに腰掛けて神通に手招きする。
「当たり前だろ?カウンター越しだとひっつけねぇだろが……よっと!」
「きゃっ!?」
近寄ってきた神通を抱き寄せ、隣にストンと座らせる。距離は密着しそうな至近距離……神通の顔がみるみる真っ赤に染まっていくのがよく見える。
「さて、乾杯はカクテルから行こう」
そう言って、目の前のテーブルにカクテルを作る為の道具類を支度していく。そして取り出したのは
「ブランデー、ですか……私洋酒はちょっと」
「まぁまぁ、甘めの味付けで飲みやすくするからよ。飲んでみてから判断してくれよ」
アルコール度数は低めとは言ってねぇがな。今宵の俺はちょっぴりオオカミさんなのだ。
《アレキサンダーのレ
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