精神の奥底
68 反撃の狼煙
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「おぉ……」
「凄い…これが僕?」
鏡の前に立ち、自分の姿にロックマンは驚く。
しかしその変装には決定的なものが欠けていた。
そのいかにも大人の女性と言わんばかりの体格ながら、声はあどけない少年のままだったのだ。
「でも声はロックマンのままだぞ?」
「ちょっと待って下さいね……これでOK!」
「あっ、あー、うん、大丈夫」
「じゃあ、皆さん無線の確認を」
声も変わり、これでちょっとやそっとじゃ見分けがつかないまでの出来になった。
久々の現実空間に慣れていないのか、軽く準備体操がてらにストレッチしながら無線のチャンネルを確認するとリサの用意した食事を台車に載せた。
そして一時的に声を元の少年の声に戻す。
「じゃあ、行ってきます」
「あぁ」
「笹塚さんも」
「……」
「どうかした?」
「何か…その顔で言われると……」
「何言ってるの!これから本物を足止めしてもらわなきゃならないのに!」
「先が思いやられる…」
笹塚は変装したロックマンの顔から目を背けた。
しかしそんな時、祐一朗が笹塚の後ろから肩を掴んだ。
「笹塚くん」
「はい?」
「彼女が酒に酔った勢いで君をお持ち帰りしたとしても、今はどうか分からないが君に少なからず好意を持ったからじゃないか?」
「それは……」
「毛嫌いするのは、彼女の気持ちを確かめてからでも遅くない」
「…流石に既婚者の御言葉は説得あるッス……」
「まぁ、私も若い時は色々あったからね」
「イケメンでインテリでモテモテって…もう何も言い返せないッス」
下を向く笹塚を尻目にリサはSurfaceを開き、カウントダウンを表示した。
それに合わせて、全員が自分の時計を確認する。
「これが最初で最後のチャンスです。失敗は許されません」
「あぁ」
「それでは作戦スタート」
それを合図にカウントダウンはスタートした。
リサの言う通り、失敗は絶対に許されない。
失敗すれば自分たちの立場は当然ながら、多くの人命が失われることに直結するのだ。
改めて一度、深呼吸して一歩を踏み出す。
サテラポリス、そしてWAXAの命運は彼らに託されることとなった。
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