精神の奥底
68 反撃の狼煙
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「ジャンケンします?」
ここにいる誰もが留置所のマヤとヨイリー、そして熱斗と接触すれば疑われる者たちばかりだった。
「道具も無いし、今から変装用のマスクを用意することなんてできないぞ」
「顔の3Dモデルはすぐに用意できますけど…」
『あの…僕が行くんじゃ?』
「え?」
そんな時、ロックマンの一声が状況を打破した。
『僕に頼みたいことってこれじゃないの?』
「ハイ?」
『変装した僕がコピーロイドに入って届けに行くんでしょ?』
「あっ…」
リサはゆっくりと振り返ると、ヨイリーの細かく整理された実験道具の中にコピーロイドが1体紛れていた。
それを堺に4人は再び慌ただしく動き出した。
「ヘンゼル、ネットナビ用のドレスアップ用のデータを用意できるか?」
『ハイ!』
「どう変装させるんですか?服装だけだとバレますよ?」
「大丈夫。今日の勤務シフトを……よし、留置所で勤務してるこの人に変装させます」
リサのPCには20代後半の女性隊員の情報が表示されている。
すぐさまリサは防犯カメラの映像や彼女の顔から3Dデータを生成し、音声データをサンプリングする。
「ゲッ…この人」
「笹塚、知ってるのか?」
「いや…その…えっと……」
「早く言え」
「前に飲み会で酔って意気投合して……お持ち帰りされて……それで…」
「もういい……」
「勤務シフトによれば、この人は休憩中です。カメラ映像でも5分前に食堂に入っていくのが確認できました。この人になりすましましょう」
「よし。笹塚、お前は食堂でこの女を足止めしろ」
「えっ!?その…えぇ!?」
「頼んだよ、笹塚くん」
「そんな……」
「博士、コピーロイドのバッテリーはほぼ100%の状態です。いつでもいけます」
「よし……」
何処か顔に恐怖を浮かべる笹塚のことなど誰も気にすることは無く、淡々と作業は進んでいく。
そして遂に祐一朗が机の上のPETを手に取った。
『プラグイン!ロックマンEXE!トランスミッション!!』
赤外線を通じて、コピーロイドのコアにロックマンがプラグインされ、コピーロイドはロックマンの姿へと変わる。
「ふぅ。現実空間で会うのは久しぶりだね。パパ、炎山」
「ロックマン……」
「ロックマン。早速ですが、ドレスアップデータを転送します。いいですか?」
「うん、来て。リサちゃん」
リサはEnterキーを少々強めに叩く。
するとロックマンの身体はホタルのように淡い光を発しながら、留置所勤務の女性隊員の姿へと変わった。
特殊マスクを使った変装と違い、体格まで完全にコピーできている。
ショートボブに整った顔立ちの美人だが、切れ長の目元がかなり印象的で人によってはキツイ印象を受ける者もいるだろう。
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