ダン梨・T
[2/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
頭を突っ込むつもりである。
「ね、バミューダくん滅茶苦茶綺麗にお魚食べるね」
「ケチケチ精神が凄いんですよバミューダは。梨の種とかホームの中で植木鉢に植えて苗育てようとしてますからね」
誰かを助ける必要性も感じないし、この世界は生きている。生きている以上、勝手に動くし誰かの助けも必要ない。使命はない。目標もない。ついでに戦いの才能も特別ない。俺に出来る事といえば暇つぶしに喋って喋って喋り倒す事くらいだ。
という訳で、俺はいつの間にか到着していたロキ・ファミリアより若干滑稽な口プレイでベートにトマト扱いされてへこんでいるベルの肩をぽんと叩いた。あれで本気でアイズ氏の気を引こうとしてるんだとしたらアピールが犬並だな。さぁベルよ、ベートわんこに雑魚だのなんだの言われ放題で俯く暇があったら俺の話でも聞いていけ。
「ベル、前にトマト育ててどっちが美味いの出来るか挑戦したの覚えてるか?」
「え?ああ……あったねそういうの。バミューダの勝ちだったっけ。あんなに甘いトマト作るんだもん、おじいちゃんもびっくりしてたよ」
「ま、ちょっとコツを聞いた事があってな………ベル、トマトってな。与える水の量が少ないと逆にいいトマトになるんだぜ」
本当の事言うと水やりが面倒だったのもあるが、これは割と有名な話だ。
「トマトはな。水の少ない過酷な環境に置かれるほどに、生き残るための生命力を必死に振り絞って実に栄養を沢山送るんだ。もちろん枯れるリスクもある。でも苦しくて、苦しくて、ずっと苦しい中で頑張ったから、俺の作ったトマトは凝縮された努力で甘くなったんだ」
誰にだって苦しい時はある。ベルだって、じじいが演技でお隠れになったとも知らずにガチ凹みしていた時期があった。でも俺は知っている。こいつは気弱そうな面して、本当は負けん気の強い奴なんだ。だから、押してやれば面白いくらい進むさ、きっと。
「なぁベル。俺たちはトマトだ。まだ実ったばかりで食えたもんじゃねぇ青いトマトだ。俺たちが人様にいいトマトって言われるかどうかはこれからだ。地味でも地道でもバトって経験値積んで、危なくなったらトンズラこいて、それでも前へ進む苦しさに挑み続ければ……きっとすげぇトマトになれるぜ」
「………そこまで行ってもトマトなんだ?」
「バぁカ、トマトに笑う奴はトマトに泣くんだよ。言いたい奴には言わせとけ。あとでトマトに追い越されて恥かくのは、少なくとも俺らじゃねえんだからよ」
要は成すための覚悟があるかどうかだ。某物理特化ネゴシエイターの物語でも、合成トマトもずっと美味しさを追求すれば本物と変わらなくなるなんて台詞があった。まぁアレのトマトは隠語みたいな感じだったけどね。ある意味俺は前の俺のトマトなのかもしれんが、怖いのでやめとく。
「でも、実
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ