第三十四話
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「…………で、なんでこんなことになってるんですかねぇ?」
俺は今の店の状況に呆れていた。
天龍は半脱ぎ、時雨は爆笑、夕立は電話で拓海に愚直、春雨は酔い潰れていた。
「まぁ、普段鎮守府では気軽にお酒なんて飲めない訳なんですし、大はしゃぎも当然でしょう。」
「宴会ならまだしもな。オレはあくまで静かに飲む酒がいいんだけどな。」
と、俺と二人でカウンター席に座り、グラスに入った芋焼酎をグイッと飲み干す木曾。相変わらず酒に強い奴だ。
「これうめぇな。後で一本くれ。無論、提督のポケットマネーで。」
「…………飯の代金は心配するなってのはそーゆーことか。」
俺はそんな木曾の様子にもかなり呆れていた。いつものようにクールに振る舞ってるし、後ろの四人とは大違いだ。
しかし、おかしいなと思った。
いつもならそろそろ木曾の声が聞こえたような気がする所なのだが…………。
「どうしたよ千尋。もっと飲めよ。」
声の主は俺に酒を勧めてきていた。ありがたく受け取っておこう。
一口飲み、なかなかの辛さに驚いていた。あいつこんなのぐびぐび飲んでたのかよ。
前に歓迎会してもらったときの日本酒もなかなかだったし、大人になってからはチューハイでいいかなと思っている。つーか今、この年齢で酒を飲んでいることが本来なら違法な訳で。
「つーか明らかに未成年の奴らが堂々と他の客の前で飲んでていいのか…………。」
当然、突然来たから貸しきりなんてことはなく、俺達以外にも客はそれなりにいる。どうやらなかなかうまい具合に商売しているらしい。
「それは心配すんな。どうせここに来る連中なんてのはオレ達のこと知ってんだし。」
またさらっととんでもないことを言いやがったなこいつ。
「ええ。実はこう見えても一見さんお断りでね。この辺の漁業組合の人とか、艦娘のことを知っている人しか入れないのよ。」
…………成る程な。
「よーするに黒い話をするならここはかなり好都合と。」
前々から思っていたことだが、鎮守府のようなデカイ敷地を海のそばに建てているんだ。昔は絶対に地元漁師の反発があったはずだ。なのに、平然と建っている。
にも関わらず、俺達にはそんな施設があると言うことは知られていない、どころかこの様子だと、近隣住民にも知られてないんじゃないか?
なぜ?
…………お金で解決しちまったんだろうな。
んで、それ以来の『大人の関係』ができたと。
「だろうな。女将は元鎮守府関係者だし、回りは味方しかいない。外から見ればただの居酒屋だし。」
木曾もそれには気づいていたようで、こちらを見てニヤリと笑った。
「ふふ
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