810部分:第六十五話 孔明、姉と再会するのことその十三
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第六十五話 孔明、姉と再会するのことその十三
「御主はそうした意味でだ。既に兄弟がおるぞ」
「そうなんですか」
「御主もわかる。やがてな」
「実は俺達もな」
「そうなんだよ」
テリーとアンディがここで鳳統に話してきた。
「俺とアンディは実は血はつながっていないんだ」
「けれどそれでもこうして」
「兄弟なんですね」
「それと同じさ」
「大事なのは絆なんだ」
「そうですか。絆ですか」
鳳統は二人の話も聞きながらだった。彼女はその仲睦まじい二人を見た。そこには絆があった。確かにだ。
そうした楽しい日々も終わりだ。諸葛勤は揚州に戻ることになった。無論黄蓋もである。
黄蓋がだ。劉備達に対して別れの挨拶を述べる。
「ではまたな」
「はい、また御会いしましょう」
劉備が微笑んで彼女に応える。
「それでは」
「そうじゃな。また会う時が来る」
黄蓋もだ。その顔が微笑んでいる。
「その時を楽しみにしておこう」
「その時まで暫しですね」
「うむ、ではな」
そしてであった。この姉妹もだ。
お互いに笑顔でだ。こう言い合うのだった。
「じゃあ朱里、またね」
「うん、お姉ちゃんまたね」
二人も別れの挨拶をする。そしてこう話をするのだった。
「人は別れる時の相手の顔を覚えている、ね」
「そうね。だからね」
「こうしてお互いに笑顔で」
「また。その時まで」
「いい話だな」
蒼志狼は二人の別れを見ながら述べた。
「別れの時は笑顔か」
「その通りだな」
リョウは明らかに微笑んでいる。そのうえでの言葉だった。
「人間っていうのは最後のその時を一番覚えているからな」
「だからあえてか」
「ああ。御前もそう思うだろ」
「否定はしない」
こう答える蒼志狼だった。
「だからいい話だと言った」
「そうだな。本当にな」
暖かい雰囲気のまま諸葛勤達は帰った。そしてそれを見送った孔明は。
すぐにだ。笑顔のまま劉備に言うのだった。
「では桃香様、すぐにです」
「政治よね」
「はい、今日は灌漑のことでお話があります」
「灌漑ね。あれもかなり大変よね」
「はい、国家の政治の根幹の一つです」
中国においてはとりわけそうである。黄河や長江といった大河を抱えている国だからだ。
「ですから余計にです」
「しっかりしないと駄目よね」
「はい、それではです」
「ええ。じゃあすぐにね」
笑顔のままだ。孔明は政治に戻る。姉妹の再会の楽しい時をそのまま胸に収めて。そうしたのである。
第六十五話 完
2011・2・20
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