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翠碧色の虹
第十一幕:ふたつの虹と太陽と
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井に虫さんが居て・・・」
時崎「え? どこ?」
七夏「えっと、こっちです!」
心桜「あっ、お兄さんっ!」
時崎「虫が居るって?」
心桜「うん。あれ!」
時崎「ん? 確かになんか居るけど、なんだろ? そうだっ!」

俺は手に持っていた写真機で、虫を捕らえ、ズームインしてみる・・・その虫は体長2〜3センチ程度の黒褐色で細身の甲虫のようだった。

心桜「お兄さんさぁ・・・なんで写真撮ろうとするかなぁ〜」
時崎「いや、ズーム機能でちょっとした双眼鏡のように、虫の詳細が見れるかと思って」
心桜「ふーん、そうなんだ」
七夏「柚樹さんっ! これ!」

七夏ちゃんは俺に「はたき棒」を手渡してくれた。そのはたき側を手にし、ターゲットの虫に棒の先端を近づける・・・。

時崎「あっ!」
七夏「ひゃっ!」
心桜「わわっ!」

棒が近づく気配を感じたのか、その虫は突然落下し、机の上に落ちてきた。俺はその虫を間近で確認して、あれだ・・・面白い特性がある虫だと分かったので、カメラの動画撮影モードで録画撮影を開始してみる。

心桜「あははー、この虫、ひっくり返って身動き取れてないよー」
七夏「ちょっと、可哀相です」

しばらくすると、その虫は、ばたつかせていた足を動かさなくなった。

心桜「ん? 動かなくなったよ・・・死んだふり???」
七夏「ど、どうすれば・・・」
心桜「んー」

その動かなくなった虫に、天美さんが顔を近づけて覗き込む・・・七夏ちゃんも少し近づいてきたその時、

七夏「ひゃっ!」
心桜「どわぁ!」

その虫は、突然跳ね上がり、顔を近づけていた天美さんの頬っぺたにタックルをして、床の方へ吹っ飛んでいった。

心桜「なっ、何!? 今の!?」
七夏「びっくりしました!!」
心桜「あいつ〜!! どこ行った!?」
七夏「あっちです・・・」

その虫は、床の上でまだひっくり返っていて、足をバタつかせていた。それを見た天美さんは、机の上にあったレポート用紙を一枚ちぎって二つ折りにした。その虫は先程と同じように、足を動かさなくなった。天美さんは、その様子をじっと見つめている。

虫 「プツッ!」
心桜「よっ! ・・・と!」

その虫が跳ね上がり、天美さんは二つ折りのレポート用紙でその虫を受け止める。その虫は、天美さんのレポート用紙の上でひっくり返ったまま足をバタつかせていた。

心桜「つっちゃー、窓っ!」
七夏「はいっ!」

七夏ちゃんが急いで窓を開ける。

心桜「ぽいっ!」

天美さんは、その虫を窓の外へ・・・その虫は、空中で羽を広げてそのまま飛び去ってゆく。その様子を見ていた俺は、ちょっと面白くて、こみ上がってくる笑いを堪えていた。

心桜「ふー、任務完了ー! んで
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