SAO:7tr―黒白の切り札―
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助けることは私の我欲でしかないのだから。
「……その……迷惑、かな?」
「…………迷惑している」
「そうだよね」
「……でも、キリカは治す気なんてないよね」
「……ごめん」
私が謝るとドウセツは顔を上げる。なんとも言えない表情で私の問いに納得していないのが伝わってくる。
「…………面倒な人ね」
「そうかもね」
「そしてやっぱりバカなのね」
「これに関しては、否定できないかな……」
きっともっと賢いやり方はいくらでもあるはずなんだ。結果的に良かったとしても、あんまり人に心配されたくないし、あんまり迷惑もかけたくない。
そういう意味も含めてドウセツは私のこと呆れているんだろうな。
「キリカ」
「なに」
ドウセツはまた、顔を俯きだした。
「……庇ってくれて……その…………」
プライドが高いせいか、またはお礼を言われ慣れていないのか、照れ隠しする様にドウセツは、
「あ、ありがとう……」
うつ向きながら不器用な感じでお礼を言ってきた。
……私はそんな褒められる様なことはしていない。もっと早く駆けつけていれば、ちゃんとコーバッツを説得していれば救えたかもしれない。先に自分から出ていれば、ドウセツが危険な目に遭うこともなかったはずなんだ。
それでも……ちゃんと前を向かないといけない。誰のためでもなく、自分のために頑張って強くならないといけないんだ。
「うん」
私はドウセツのお礼を素直に受け止めた。ここでそんなことないって拒むのは、ドウセツに失礼を値するし、何よりも私が嬉しかった。
「……さて、そろそろ戻らないと……」
私は視線をグリームアイズに向ける。
兄、アスナ、クラインはなんとか少しずつ攻撃を与えつつ、防御に徹していた。風林火山の人達は倒れ込んでいる軍のメンバーを部屋の外へ引き出そうとしている。
順調そうに見えるけど、救出作業が遅々として上手くいっていない。なんとか対応している兄も流石に人数が少なすぎるせいか、ふとした瞬間に一気に崩れるのは明確。離脱しようとするのなら確実に被害者は出るだろう。
HPはまだ全回復していないけど、私も加勢しに行かないと兄達はやられてしまう。
ここで一番被害を出さない方法はたった一つ。やられる前に倒すことしかない。
「キリカ」
戦場へ戻ろうしとしたら、ドウセツが袖を引っ張って呼び止めてくる。
振り向くと、ドウセツは雪のような印象を与える真っ白な薙刀を右手に持っていた。
「ドウセツ……それは……」
「理由は生き残ってから説明する。その薙刀を使って生き残るわよ」
ドウセツの発言に勢いはなかったけど、不思議と強い意志を感じ取れた。
「わかったよ、ドウセツ。あと、
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