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SAO:7tr―黒白の切り札―
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 ドウセツは私が助けた理由を納得していなかった。
 
「……“あの時”」

 ドウセツは何故か顔を伏せるとまた弱々しく問いかけてくる。

「“あの時”もそうだったわね。私が殺されそうになったところを助けてくれた」
「それもドウセツを助けるためだよ」
「……そして、私を助けるために貴女は二人殺した」
「…………うん、その通りだよ」

 ドウセツが言っているのは、かつてアインクラッドに存在し、無差別に公然と快楽に殺人を行い、三桁を上回る数の犠牲者を出した殺人ギルド『ラフィン・コフィン』の討伐したことだろう。
 少なくとも私が“ちゃんと人を殺した”時はそこしかない。
 今年の八月に私や兄、アスナが所属している血聖騎士団を含めた攻略組は、ボス戦なみの討伐隊を結成し、『ラフィン・コフィン』を捕縛した作戦が行われた。だけど、どこからか情報が漏れてしまったせいで急襲しようとしたこちら側が逆に奇襲を受ける結果となってしまった。
 最終的に私達が勝利したものの、討伐対側は十人以上の犠牲者を出してしまい、『ラフィン・コフィン』側は約十人の捕縛に成功したものの、二十人以上を消滅してしまった。
 そうだ。私はドウセツを守るために二人を殺したんだ。

「……どうして、そこまでして私を助ける? 手を汚し、自分の命を犠牲になろうとしてでも私を助けようとするの?」

 ドウセツはそのことをどういう意味で言っているのだろうか。どんな表情を込めて言っているのだろうか。声は淡々としているけど、どこか弱々しい。表情は俯いているせいで何も読み取れない。
 ……ドウセツはあの時のことを気にしているのだろうか。こんな時、なんて言えばいいのか、わからない時がある。
 ただドウセツを助けたいだけで、納得できるのだろうか。
 …………いや、違うな。私は納得してほしいわけじゃない。
 例え納得しなくても、私はドウセツを助けたい気持ちなのは何一つ偽りもないんだから。

「私はね、恩人であるドウセツを死なせたくないから助けるの。それと自分のためとか、過去のことを繰り返したくないから必死になっているだけなの。だから後悔していないわけじゃないし、正しいことをしているつもりはない。本当は殺人を犯したくなかったし、ドウセツに心配されるような行動はなるべくしたくない。コーバッツも助けたかった。それでも死ぬのが怖くて怖気づいてしまうこともある。だから、その……私が言いたいことはね、全部自分のためなの。自分の心を傷つけたくないために、立ち止まったままは嫌だから、とりあえず行動に移さないと……立ち止まった時に終わってしまったことが、もの凄く怖い」

 助けるのに理由はいらないと、ヒーローが言っていた。
 でも私はヒーローではない。ましてやヒーローにはなれない。
 何故なら、
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