SAO:7tr―黒白の切り札―
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に倒れてしまった。そして生命線となる自分のHPバーがグイっと減少してしまう。
私も兄もドウセツも装備とスキル構成は壁使用ではなく攻撃特化仕様になっている。このまま追撃されると、確実に殺される。
死の恐怖。
救えなかった恐怖。
回りの人が急にいなくなる恐怖。
何回戦闘しても恐怖に慣れたことなんてない。
それでも私は。
「キリカ!」
挫けるわけにはいかない。まだ命はある。
私はすぐさま立ち上がりグリームアイズが追撃を行う斬馬刀を回避しつつドウセツに狙わない様へと誘導させる。
「ドウセツ! 一時避難!」
ちらっと、グリームアイズの周辺を見たら、アスナに続き兄、クラインが駆けつけるのが視界に入った。
「アスナ、兄! ちょっとだけドウセツと一緒に避難するから、その間だけどうにかして!」
私は兄とアスナの返答をまたずにドウセツと共に奥へ避難した。
現状を見ればもはや軍の連中はまともに戦うことができない。どうにかして自分の身を守るのに精一杯だ。一時的とはいえ、兄達には時間稼ぎをさせてもらったけどかなり厳しい。なにせまともに戦える人が限られている。軍を守りながら戦うとなると、崩れたら最後、一瞬で終わってしまう。それに加えて『結晶無効空間』だ。転移して街へ戻ることもできなければ、一瞬で回復することもできない。
とはいえ、薙刀を折られてしまった私は足手まといにしかならない。急いで別の薙刀を装備して加勢に行かないと。
「ドウセツ、大丈夫?」
「えぇ……」
力なく返事を返したドウセツは俯きながら壁に寄りかかる。
……グリームアイズの進撃がないのは、今はアスナ達と交戦しているおかげみたい。とりあえず、ドウセツを救えたことでホッとしているが、ずっとそうしているわけにはいかない。
「とりあえず、さっさと回復しよう。ポーション持っているよね?」
ハイ・ボーションと言う小さな瓶を取り出し、緑茶にレモンジュースを混ぜた味の液体を口に流し入れる。これで五分もすれば、数値的にはフル回復するけど……素直に満タンになるまで待ち続けるわけにはいかない。頃合いを見て復帰しよう。
「……どうして」
「え?」
「どうして……また私をかばったの?」
飲み干したドウセツが私に対して静かに問いかけてきた。
顔を上げ、清ました表情をするけど、声に力はなくどこか弱々しかった。
…………前もそんなこと聞かれたっけ。
「前も言ったと思うけどさ、そんなのドウセツを助けるために決まっているじゃない。今回はまだノーダメージだったし、ドウセツが食らったら最悪ゲームオーバーになる可能性があったでしょ? 助けるのは当然だって」
「…………」
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