SAO:7tr―黒白の切り札―
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そして彼と目が合い、無数の断片となって消滅する前に口がゆっくり動く。
彼はこう言った。
あり得ない、と……。
誰に向かうわけでもない、その言葉は小さかった。そしてその直後、コーバッツはあっけなく消滅してしまった。
この瞬間、コーバッツがリトライすることもなく、萱場晶彦によって書き換えられたアインクラッドの世界で死んで逝った。
同時に現実世界でもコーバッツも死んでしまった。
……私が。
……私が早く動こいていれば、結果は変わっていたのかもしれない。
……私が動かなかったせいで、コーバッツは死んでしまった。
もっと説得していれば、何かが変わっていたのかもしれない。
私のせい…………私がもっと早く動いていれば……。
……いや。
まだだ。
「うあああああああああぁっ!!」
まだ、終わってない!
救うことをできなかったのは確かだ。でも、それで終わってはいない!
私は止まっていた足を再び前に動かす。囮として動いたドウセツを、そして取り残された軍を救うために、ただただ助けることだけに私は必死に足を動かした。
結果的にコーバッツが死んだことで、自分一人が囮になろうとしていたドウセツの行動は無意味になってしまった。それでもドウセツは止まることなく駆け出す。
しかし甘かった。ドウセツは近づいた直前にグリームアイズが急に振り返って、猛烈なスピードで斬馬刀を振り下ろしたのだ。それはあまりにも唐突なことだったが、ドウセツは咄嗟にカタナで受け止める。けどグリームアイズは強引にドウセツを薙ぎ払い、壁に激突させた。
ドウセツのHPバーが減り、手元からカタナを離してしまい地面に倒れこんでしまう。グリームアイズはそこに容赦なく斬馬刀を大きく振り下ろし、おいうちをかけようとしていた。
「ドウセツッ!」
もしも、このまま間に合わず、あの斬馬刀が振り下ろしたらドウセツは生きていられるの?
多分大丈夫なはず、HPもそんなには減ってない。
でもそれと同時に大丈夫ではない。HPが失くなればドウセツは消滅して、死ぬことになる。
ドウセツがここからいなくなる? まだ、恩は返していないのに死んじゃうの?
嫌だ。
そんなの絶対に嫌だ!
「うおおおおおおおおおおおおおっ!!」
絶対に死なせない! 死なせてたまるか!
私は無我夢中に全力で駆け抜ける。
この世界では皮肉なことに、失ったこと、得られたこと、強さを勘違いしていたこと、罪の重さのこと、過ちを犯したこと、命の大切さ、命の重さと軽さなどを、多くのことを学んだ気がする。それで私はドウセツやアスナ、クライン達と出会うことができて今も生きていられるんだ。
でも……。
『キリカ。何でこんなことにな
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