SAO:7tr―黒白の切り札―
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謀であり命を落とすだけとなる。そう考えれば逃げることは十分にあり得る。
でも、それだったら何故他のプレイヤーは逃げることをしないんだろうか? コーバッツがそれを許されないからそれに従っている? それでも命を失う危険があるのだ、本能的に転移結晶を使う人はもっと多くてもいいはずなんだ。でもそうじゃないとしたら……。
「うわぁぁあぁぁっ!」
『グリームアイズ』に薙ぎ払われた『軍』の一人が床に激しく転がる。彼のHPが赤い危険域に突入していた。
すぐに離脱するべきだ。あるいはクリスタルを使って帰還した方がいい。
しかし離脱は軍と私達のいる入り口との間に、ボスが陣取ってしまっているせいで離脱は難しくなっている。下手をして離脱しようとするのなら命を落とす危険性が高い。
それなら選択は一つしかない。
「何をしている! 早く転移アイテムを使え!」
到着した兄はすぐに状況を理解し、倒れた軍のプレイヤーに向かって提案を伝えた。提案というよりは命令に近い。そうじゃないと、確実に死ぬからだ。
だが軍の一人はこちらに顔を向けると、青白い炎に照らされた表現は絶望を露わしていた。
それと同時に軍の誰かが、最悪の想定が確信へと変わる様な叫びをした。
「だ、だめだ……っ! く、クリスタルが……クリスタルが使えない!!」
「なっ……」
兄は絶句した。そして私もアスナも、冷静な態度を取るドウセツも苦い顔をしていた。
こんな状況で嘘つく度胸があるとは思えないし、嘘をつく余裕なんてない。だったら軍の誰かが言った通り、この部屋はクリスタルが使えない『結晶無効空間』と言うことになる。
「そ、そんな! ボス部屋が『結晶無効空間』になったことなんて今まで無かったのに……」
迷宮区で稀に見られるトラップはあった。だけどアスナが言った通り、今までボス部屋にそんなトラップを張ることは一度もなかった。
ここに来て新たな厳しい条件を与えたのか、萱場晶彦。
「何を言うか……っ! 我々解放軍に撤退の二文字はあり得ない! 戦え! 戦うんだ!」
悪魔の向こう側で一人のプレイヤーが剣を高く掲げ、怒号を上げた。おそらく彼がコーバッツ中佐だろう。彼は不利な状況でも、敗北の文字だけは許されないプライドを通したいのか? あるいは中佐としての使命を貫き通したいのか?
だけどそれは。
「馬鹿野郎……っ!」
兄が叫んだ通り、それは馬鹿でしかない!
結晶無効空間で二人いないなら消滅してしまったこと。そして二人は死んだと言うことになったんだ。
そんなことはあってはいけないのに、コーバッツは未だにボスを倒すことだけを目的としている。
誰がどう見ても一目瞭然、軍は敗北している。まともにHPを削
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