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SAO:7tr―黒白の切り札―
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 安全エリアを出て三十分が経過。
 ドウセツの説得に成功した私達は運悪くモンスターの集団に遭遇(そうぐう)していた兄達と合流した。
 その道中、探している軍を見つけることはなかった。

「まだ軍とは会わないわね」
「ひょっとして、もうアイテムで帰っちまったんじゃねぇ?」

 アスナの発言におどけたようにクラインは言う。皆も同じように感じていたらしい。
 ……でも、あの私のイメージ的にコーバッツってアイテムを使うことを許さなそうな気がする。思い込んでいるだけでそうじゃないことを願いたいんだけどね。

「……そうじゃないみたいよ」

 しかし残念ながら、ドウセツの発言で嫌な予感を的中したことを表す結果となってしまった。
 というのも半ばほどまで進んだ時、微かな回廊内を反響する悲鳴が耳に入る。モンスター特融の叫びではなく、人の悲鳴。
 そうとわかった時には私達は一斉に足を動かし駆け出した。敏捷力(びんしょうりょく)パラメータに優る私達は風林火山を引き離してしまうけど、今は立ち止まるわけにはいかない。
 先へ進むと、彼方にある大扉が見えてきた。
 ただ、その大扉はすでに左右に大きく開いていることから、悲鳴が響いて来たことも含めて『軍』はボスと戦っているに違いないだろう。
 力いっぱい地面を蹴り飛ばして加速しさらにスピードを上げた。追随(ついずい)するように兄もアスナもスピードを上げる。ドウセツは敏捷力が高く、あっと言う間に私達に追いつき、風の如く疾走してはいち早く扉の手間にたどり着いた。

「ドウセツ!」

 少し遅れて私もたどり着き、視界に映った光景のは、

「……最悪ね」

 ドウセツがぽつりと漏らした通り、そこは最悪を超えた地獄絵図だった。
 金属質に輝く巨大、山羊顔の青い悪魔『ザ・グリームアイズ』右手の斬馬刀とでもいうべき巨剣を振り回す。その迫力は凄まじく、まるで希望を打ち切るような素振りで軍を薙ぎ払っている。
 それはまさしく恐怖の象徴。それに逃げ戸惑う軍はもう統制も何もあったものではない。頭がパニックして絶望の文字だけが浮かび上がり、その表現が悲鳴を表していたと感じ取れた。

「……ボスのHPは三割も減ってないとなると、ボスを倒す勢いは最初だけのようね」

 ドウセツは冷静に状況を見極めている。

「……おかしいわね」
「な、何がおかしいのよ」
「二人いないわ」
「二人……二人って」

 私は『軍』の部隊の人数を数えていく。
 1、2、3、4……確かコーバッツ率いる『軍』は十二人いたはずだ。でも今は十人に減っている。
 二人だけ逃げた? 敵わない相手だと判断して命を守るために優先するとしたら、転移結晶で逃げるのが先決だ。
 状況を見ればこれ以上、ボスと戦うのは無
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