ターン79 鉄砲水と表裏の皇帝
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自らを鼓舞するようにそう声をかけ、デッキをそっと撫でて外に飛び出る。だいぶ余裕を持って寮を出たつもりだったが、灯台に着いた時には既に2人とも先に来ていた。だがカイザーは当然として、翔も何も言わない。ただ無言で、互いがそこにいることを認め合うのみだ。お互い覚悟はとうに決まっているのだから、これ以上の言葉は蛇足でしかない、ということだろう。そういうことなら、話は早い。互いに向かい合い、それぞれのデュエルディスクを構えたのは同時だった。
「「デュエル!」」
「じゃあカイザー、僕が先攻と洒落込ませてもらうよ!フィールド魔法KYOUTOUウォーターフロント、永続魔法グレイドル・インパクトを発動!」
本物の灯台にかぶさるようにソリッドビジョンの灯台が構築され、そこから放たれる光に照らされながらUFOが煙を吐きつつ落下する。なんともカオスな風景ではあるが、この2枚がこの最序盤から同時に手札に揃った意義は大きい。維持すれば維持するだけアドバンテージを獲得できるこの2枚は、僕の通常より枚数の多いこのデッキを回すうえで重要なエンジンとなってくれる。
「モンスターをセット。このエンドフェイズにインパクトの効果を発動、ドール・コール!デッキからグレイドルカード1枚、グレイドル・コブラをサーチしてターンエンド」
「俺のターン。サイバー・ドラゴン・コアを守備表示で召喚し、効果を発動。デッキからサイバー、またはサイバネティックと名のつく魔法・罠カード1枚を手札に加える。俺がサーチするのはフィールド魔法、サイバーダーク・インフェルノだ。そして、このインフェルノをそのまま発動!」
サイバー・ドラゴン・コア 守1500
……地獄。その物騒な名に相応しく、灯台の街がみるみるうちに暗い炎に包まれる。なるほど、ここがヘルカイザーの地獄ってわけか。
「そして魔法カード、融合を発動。手札のサイバー・ドラゴン、そして場のサイバー・ドラゴン・コアを素材に、融合召喚」
そして発動されたのはサイバー・ダークの関連カード……ではなく、ノーマルの融合。まずは表サイバーで牽制、ということだろう。だがその牽制は、それ1枚でも既に十分フィニッシャーになりうるほどのポテンシャルを秘めたカードだ。コアはサイバー・ドラゴンとしても扱うカード、となるとあの素材指定で召喚されるのは恐らく、2800の攻撃力を持ちながら2回攻撃の権利を持つあのカードだろう。
だがその予想は、即座に打ち砕かれた。サイバー・ドラゴン2体が空中で混じり合い生まれた機械龍……それは断じて僕が心に思い描いたあのカードではない。黒いキューブ状の物体がいくつも組み合わさってできたいびつな胴体から、てんでバラバラにそれぞれ細部が異なる機械龍たちの3つの首と1本の尾が生えている。
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