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遊戯王GX〜鉄砲水の四方山話〜
ターン79 鉄砲水と表裏の皇帝
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筋の太刀が走る。

「さあ、あの時のリターンマッチと洒落込もう!行くよ、霧の王(キングミスト)!」

 霧の王は、リリースしたモンスターの攻撃力の合計がそのまま攻撃力となる。思えば卒業デュエルの時も、最後はこの霧の王とサイバー・エンド・ドラゴンの一騎打ちだった。あの時からカイザーは変わったけれど、僕だってもうあの時とは違う。恐らくこれが、このデュエルで僕が出す最後のモンスターになるだろう。

 霧の王 攻0→5200

「フッ、あの時の、か。いいだろう、来い!」
「もちろん!霧の王でサイバー・ダーク・ドラゴンに攻撃、ミスト・ストラングル!」

 大きく飛び上がった霧の戦士が、その宝剣で全体重を乗せた大上段からの一撃を浴びせかけると、サイバー・ダーク・ドラゴンもわずかに顔を上に向け、再び顔の前で発生させたエネルギー弾でそれを迎え撃たんとする。互いの攻撃のエネルギーが激突し、激しい爆発が起きた……だがその衝撃波が僕らの元に届くより先に、どこからともなく発生した深い霧が全てを包み込んでいく。
 勝負は、1瞬で決まった。発生した時と同じような唐突さで霧が晴れていき、みるみるうちに視界がクリアになっていく。その向こうに立っていたのは力尽きたサイバー・ダーク・ドラゴンの頭部に剣を突き立て、静かにその亡骸を見下ろす霧の王だった。

 霧の王 攻5200→鎧黒竜−サイバー・ダーク・ドラゴン 攻1900(破壊)
 カイザー LP4000→700

「どうだ……カイザーっ!」

 あの時、表サイバーの龍に倒された霧の王が、今度は裏サイバーの龍を切り伏せた。だがやはり気になるのは、あの時カイザーのサーチしたサイバネティック・フュージョン・サポート……だがサイバー・エンド・ドラゴンが先ほど墓地に送られた以上、あのカードが目当てではないだろう。となるとまさかさっき言っていた、裏サイバーの新たなる地平とやらだろうか。
 いや、でも、あれはカイザーでさえもまだものにできていない存在だと明言されたはずだ。まさか、このデュエルを通じて次のターンで『それ』を覚醒させるつもりだろうか。あまりにも危険で、分の悪い賭け……第一その新たな境地のモンスターが目覚めなかった場合、何も召喚することができずに終わる可能性すらある。
 そんな物思いは、カイザーの目を見て吹き飛んだ。あれは……本気だ。本気で僕とのデュエルを通して、その境地に登り詰めつつある目だ。知らず知らずのうちに鳥肌が立っていたのを精神力で抑え込み、にやりと笑ってみせる。いいだろうカイザー、僕が生き証人だ。その姿はっきりと、その命の輝きを、最後まで僕がこの目で見据えてやるさ。

「ターンエンド。今のが僕の全力だ、さあ来いカイザー!ただしここまで引っ張ったんだ、その結果が生半可な力程度なら、僕らがこ
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