巻ノ百四 伊予へその九
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「何十匹でも倒せるわ、しかし倒すよりもじゃ」
「戦わずしてじゃな」
「その何十匹の狒々を降参させる位にじゃ」
戦う前にというのだ。
「そうして悪さをさせぬ位のな」
「強さをじゃな」
「備えるのじゃ」
是非にというのだ。
「よいな」
「そういうことか」
「猿、そしてわしを超えればじゃ」
「山の神の様になりか」
「下手な山の神なら狒々共と同じく平伏する程になる」
猿の、大介の域を超えればというのだ。
「そうなるからな」
「是非か」
「強くなれ、よいな」
「わかった、ではな」
猿飛は頷き祖父と共に修行を続けた、木の葉隠れの術も木の葉それぞれのことも考えて行う様になりさらによくなっていた、それでだ。
幸村も猿飛の術を見てだ、こう彼に言った。
「お主もな」
「十勇士の他の者達と同じく」
「強くなっておる」
これまで以上にというのだ。
「そして免許皆伝、猿を超えた時はな」
「他の者達と同じくですな」
「天下無双の強さを備えておるわ」
「そうなっておりますな」
「だからな」
「何としてもですな」
「猿を超えるのじゃ」
まさにというのだ。
「よいな」
「そうさせてもらいます」
「必ずなれる」
猿を超えることはとだ、幸村は猿飛に笑って確かだと言った。
「お主ならな」
「左様ですか」
「他の者達も出来た」
十勇士の彼等もというのだ。
「だからな」
「それがしもですな」
「必ず出来る、お主達十人の腕は同じ程じゃ」
幸村から見てだ、そしてこれはこの通りだ。
「だからな」
「それがしもまた」
「なれる」
「そうですか」
「そうじゃ、今の授業の流れでもな」
「出来ますか」
「それも出来る」
また言うのだった。
「そこから見ても拙者は思ったわ」
「そうですか、ではさらにです」
「励むな」
「そうさせて頂きます」
猿飛も微笑んで答えた。
「是非」
「それではな」
幸村も修行に加わっている、そうして三人で修行に励みその中で猿飛に言ったのだ。そうしてだった。
猿を見てだ、猿飛はこう言うのだった。
「猿を超えようなぞ」
「とてもじゃな」
「思うことなかった」
こう大介に言う。
「まことにな」
「そうじゃな」
「うむ、猿と同じ動きが出来るとは思っておった」
その様にはだ。
「しかしな」
「それでもじゃな」
「そうじゃ」
まさにというのだ。
「猿以上の動きはな」
「しようとはじゃな」
「猿そのままの動きもじゃ」
今出来る様になったそれもというのだ。
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