【その微笑みが意味するのは】
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ト君の腕の中で、ネジ兄さんは息を引き取った。
私は最期に、ネジ兄さんに微笑んでもらっただけだった。
……最期に優しい笑みを私に向けるなんて、ずるいよネジ兄さん。
その時の微笑みを言葉にしたとしたら、何て言ってくれたの?
『ヒナタが無事で良かった』
『俺の為に泣く必要はない』
『後の事は頼む。だが決して、ヒナタは死なないでくれ』
そう言って……くれたのかな。
ネジ兄さんを失って、私は絶望の淵に立たされた。
それはナルト君も同じだった。
でもこのままじゃいけないって……ネジ兄さんが命懸けで護ってくれた想いを決して無駄にしてはいけないって……だからナルト君と一緒に立って───
そして私は夢を見た。
とても都合の良い夢を。
後から知ったそれは、無限月読だったそうだけれど。
私はナルト君と結ばれて、二人の子供が居て、ネジ兄さんはその子供達のおじさんになっていて、とても穏やかな、優しい表情をしていた。
ネジ兄さん、と私が呼ぶと、ネジ兄さんは私に気づいて微笑みを向けてくれた。
『───ヒナタ、お前が望んでくれるなら、俺はずっとヒナタの兄さんとして傍に居るよ』
うん、ずっと傍に居てほしい。
私の大好きな兄さんとして、ナルト君の義兄として、子供達のおじさんとして、家族として、ずっと幸せに───
『あぁ……だが、都合の良い夢からは、覚めなければいけない』
え……?
『出来る事なら、未来のお前達家族とずっと一緒にいたかったが……都合の良い夢ばかり見てはいられない。──けど傍には居るから、眼には見えなくなるだけで。ヒナタや仲間達が俺を想ってくれた時、その心の中に俺は居る。ずっと……お前達を見守っていくから』
ネジ兄さんは優しく微笑んだままでいる……でもどこか、寂しそうに私には見えた。
『さよならは……言わないよ。また逢おうな、ヒナタ』
時が、逆流していく。
私はその流れに逆らえない。
微笑んでいるネジ兄さんが、遠のいていく。
私は必死で声を上げようとした。
ネジ兄さん、待って……いかないで……!!
次に目を覚ました時には、ネジ兄さんの姿を眼で捜しても、どこにも居ない世界が広がっているだけだった。
……けれど、心に想えばいつだって傍に居てくれる。
だから、寂しくなんて───
「──・・・オレが守らねぇと、ネジみてぇにヒナタまで死んじまうかもしれねぇから」
大戦から一年経って、ネジ兄さんの墓前で私にナルト君はそう言った。
「ネジのようには、させたくねぇ。ネジの想いに報いてぇんだ。ヒナタの傍に居て、
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