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俺の四畳半が最近安らげない件
美髯公の呪い〜小さいおじさんシリーズ19〜
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定することも出来ずに押し黙る小さいおじさんの群れ。…やっぱり呼ぶんじゃなかった。


「―――理不尽な死を遂げた彼の霊は怨霊と化し、彼の住まう徐州琅邪国に関帝廟を建立すると呪われる…と云われ、中国なら何処にでもあると思われている関帝廟も、彼の地には建立されないのですよ」


絶妙なタイミングで白頭巾が口を挟んで来た。…あの性悪頭巾め、やはり知っていたのか。白頭巾は口元を羽扇で覆い、くっくっくと性悪な忍び笑いを漏らした。
「ちなみにこの『呪い』は二千年を経た今も続いています…旅の僧に『浄化』とやらをされて救われた貴方と違い、顔良はまさにそう…現役の怨霊なのですよ…」
さもおかしげに笑いながら、白頭巾は『あの襖』に手をかけた。
「祟り神を更に祟る、神。三国志最強の怨霊は、彼かもしれませんねぇ…」
すらり…と開いた襖の奥には闇が広がるのみ。白頭巾はおちょくるようにこちらを一瞥して…そのまま吸い込まれるように消えていった。
「…そういや、うちの小覇王を取り殺した于吉道士も、あの性悪白頭巾も、徐州琅邪国の出身だったな…」
端正が、心底げんなりした顔で呟いた。豪勢も軽く頷いた。
「おぅ、何かこう…余の偏見かもしれんが琅邪国の連中はどうも…ねちっこいというか、陰険というか…」
「于吉道士も顔良殿も良くは存じ上げないが…あの男も含めて、一種独特…ですな」
関羽も云いにくそうに同意する。…うん、云われてみると凄いイヤなラインナップだ。きっと琅邪国の土は黒くてどろっとしているのだろう。


そんなことがあってから、襖の方から禍々しい視線を感じる事が度々あるのだが、気にしないようにしている。彼の『呪い』はとても限定的なのだ。
毎日のように現れて菓子のストック荒らして帰っていくどっかのおじさん連中より、よほど質がいい。

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