愉快なメンバーさん
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第三の目を開眼したままの社長と、スーツ美女に引きずられ、梦見は廊下を歩いていた。
「社長さん、前見えてるんですか?」
すいすいと廊下を進んでいく社長に聞く。さっきは壁に激突したのに。
「あぁ、この目でも見えるし、何故か遠近感も分かる。余計なことを知らなくて済むから、出来るだけこの姿で過ごしてるんだ」
頭良いだろ、と得意気に言う彼に、梦見は微笑むことしか出来なかった。
さて、社長室から出て30秒。
四人はモニター室に居た。
かなり広いこの部屋には、壁に多数のモニターが並んでいて、そのどれもが、それぞれ違う景色を写し出している。せかせかと働く人たちは、新顔の梦見のことなんて目にも留まらぬ様子で、仕切りに機器を操作していた。
「雪那、この依頼は何班に回した?」
「はい、反乱軍による暴動の鎮圧ということで、三班を」
「いつも的確だな、流石雪那」
社長に褒められ、雪那はわたわたと慌てる。
「いっ、いえ、私など戦闘に不馴れな新参者。このくらいでしか皆さんのお役に立てませんので」
心なしか、雪那の頬が赤い。……可愛い。
「三班は…お、居た居た。おーい、弥救!」
社長の声に反応して、モニターに向かっていた緑髪の青年が振り返る。
片目は前髪で隠れていて、どことなくミステリアスな印象だ。あと頭に生えているあれは…ツノだろうか?
「初めて見る子が居るねぇ…?へぇ、梦見ちゃんっていうんだ」
「えっ」
初対面の人にいきなり名前を言い当てられた梦見は、驚きに固まる。
まさか弥救さんも悟りなんですか?そう口に出して質問しようとした瞬間、彼が口を開いた。
「あぁ、違う違う。僕は"件"だよ。ちょっと先の未来が見えるだけ」
「くだん…?」
「牛の姿をした神とも言われる妖怪だ。弥救は託宣能力者で、件の力を持っている」
社長の説明を聞いて、梦見は弥救を羨ましく思った。未来が見えるなんて、本当に便利な力!
「そうでもないよ?件といっても、僕の力はまだまだ弱くて、10秒程先のことしか見えないんだから」
また先回りされた…。
梦見が驚きで微妙な顔をしているのが紫翔にも分かったのか、くす、と笑われた。そりゃあ紫翔さんは慣れてるかも知れないけどっ…!
「最初は驚くけど、慣れると楽やで?先回りして話してくれはるし」
「…そういうもの?」
梦見には微妙に納得がいかなかったが、とりあえず頷いておく。でもやはり、心が読まれているようで落ち着かない。
「僕は未来が少し見えるだけだから、口に出そうとしていないことは分からないから安心して良いよ。二人の関係とかも僕には分からないし」
楽しそうにクスクスと笑う弥救。…とてもからかわれている気がする。
「自分は…」
「ただの保護者?だから僕に言われても分からないって。でもそんなことばっかり言ってると彼女傷
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