愉快なメンバーさん
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付いちゃうかもよ」
彼の言葉にドキッとする。やっぱりこの人、心が読めるんじゃ…。
梦見が一人悶々としていると、モニターの一つに影が映った。
「おい、弥救!ちゃんとナビしてくれよー!」
それは、身長が155cmの梦見と同じくらいの赤髪の男性?男の子?だった。
周りのビルから察するに、そこは15階建てくらいのビルの屋上だろう。彼の後ろでは黒髪ストレートの女性―メー〇ルの黒髪版のような―が優雅にコーヒーをたしなんでいた。なんというミスマッチ。
「あぁ鳳凰。見てごらん、可愛い新入りさんだよ」
新入りは私しか居ない。多少の照れを感じながらも、梦見は頭を下げた。
「梦見と言います。宜しくお願いしますっ…!」
「おう、宜しくな!見たところ、まだ学生みたいだけど、今幾つだ?」
「おい鳳凰、初対面の女性にいきなり年齢を聞くでない、失礼であろう」
黒髪の女性がスタスタと鳳凰に歩みより、思いっきり頬をつねった。
「ぎゃあぁぁっ、おい黒羽!痛い、止めろよ!」
バタバタと両手足を動かして黒羽に抵抗する鳳凰だが、彼女の方が身長が高い=腕が長いので効果がない。
「お前はもう少し、心身共に成長した方が良いのではないかの?それこそ、学生に戻って」
「俺はもう19だ、立派な社会人だぞ!」
……梦見には、そうは見えなかった。
「ほらほらそこまで、仕事に戻ろう。…対象は目視出来るかい?」
「んー、こっからじゃ見えはしないな。声の聞こえる方角的に、将軍の邸宅の前っぽいけど」
「黒羽、」
「いつものであろう、分かっておる」
黒羽はそう言うと、ロングコートの裾をバサッと翻し、ビルから飛び降りた。
「えっ!?」
早く助けないと。
そう梦見が思ったのも束の間、何かが黒い翼をはためかせて飛び上がって来た。
「ふふふ…慌てなくとも良いぞ若人よ。妾は"烏天狗"、故に飛べるのじゃ」
烏天狗…。闇に紛れてはっきりとは見えないけれど、烏の翼で悠々と飛ぶ彼女は格好いい。先ほどの鳳凰と比べたら、天と地ほどの差がある。
「ふむ…ざっと二千人、というところかのう。ただのデモ隊じゃ。将軍の邸宅前で叫んでおる」
「なんだ、デモ隊かよ…」
がくっと肩を落とす彼に、黒羽さんはくすくすと笑いながら告げた。
「ただ、白熱してきそうじゃ。今のうちに止めんと、血が流れるぞ」
「それを早く言えよ!」
鳳凰の目が途端に輝き出す。随分と好戦的な人なのだろう。
「弥救、どうする?」
彼は、にやり、と笑みを浮かべながら、モニター越しにこちらを見た。弥救はそれに不敵な笑みで答え、
「さぁ、行っておいで二人とも。命の灯を守ってあげようじゃないか」
それを聞いた二人は待ってましたとばかりに頷き、各々画面から姿を消した。
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