第91話 憑く
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グラムのような姿を一転して茹だるように真っ赤な明滅を繰り返して構えた。
それに伴って白ゼツから観える『叫び』は悲痛の色彩が強くなっていく。
痛い
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い
いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁー!
許してください許して
もうやだ、ヤダヤダヤダ
止めてぇぇー!身体がバラバラに引き裂かれ
熱いぃぃぃぃぃぃぃー!
「ま、まさか!?」
「言い忘れたけどさっさとボクを倒さないと皆んな死ぬかもね。まあ、君達もすぐに仲間入りだ」
ケラケラと悲鳴が上がるエネルギーの渦の中で高笑いを浮かべている姿は悪魔の様相を呈していた。
******
白ゼツが仮想尾獣のモードを変えた時に意識不明患者を収容した病院では阿鼻叫喚の惨劇であった。
閉じてあった目が血走り、思い切り口を閉じて硬直したような痙攣が起こり、身体が仰け反るように捩れていく。
「せ、先生!!?一体これは?」
「わ、分からない......呼吸が乱れている!」
「酸素マスク用意して!」
「口が開けられません!」
「先生こちらにも来てください!」
「後弓反射も見られます」
まるで猛獣を相手にしているような患者の変わり具合に医師も正しい診断が付けられずにひたすら暴れるのを抑えるしか手段が無かった。
どうすればいい?
テタヌス(破傷風)の症状に近いが、まだ原因不明だ
患者全員に発症していることは集団感染か
我々は大丈夫なのか
何が起きているのか!?
病院全体が混乱する中で一つの欠けた面がフラフラと隠れるように壁伝いで虫のように移動していた。
「し、死ぬかと思ったっす......覚えていろ」
上条当麻により消滅したと思われたトビが命からがらここまで逃げ延びてきたらしい。
人の行き来が激しい中で面の後ろから触手を伸ばしてスルスルと移動していきある病室に潜り込む。
開け放たれて患者の悲鳴が聴こえている中でトビは比較的に大人しく眠っている白井に目を付けた。
「!良く分かんねぇっすけど。取り憑きやすそうなのがいるもんっすね。他は暴れているから良いや」
ヒョコヒョコと這い蹲りながら慎重に白井の枕元に落下してゆっくりと顔を覆った。
右上が欠けた状態のグルグルしたお面が被さると白井は一気に身体を起こして、真っ赤に怪しく白井の眼が静かに微笑んだ。
「良くもオイラをコケにしやがったっすね......オイラだってまだまだ役に立つっす」
トビは白井の身体に入っている点滴を引っぺがすと覚束ない足取りで病室をあとにした。
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