Epilogue ーナミの決意ー
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を残したくなかった。
自分はアキトとは仲間でもなく、旧知の中でもなく、この島の住民といわけでも、ましてや自分と恋人というわけでもないのだ。
そう、全くの赤の他人に過ぎない。
「……」
アキトは逡巡した様子を見せ、黙り込む。
「ねえ、どうして?」
ナミはそんなアキトに構わず畳み掛ける。
「許せなかったからです。ナミの8年もの頑張りを否定した、アーロンが」
「……」
ナミは静かにアキトの言葉に耳を傾ける。
「初めは部外者である自分はこの村の事情に関わるべきではないと考えていたことは事実です。ですが、ナミの頑張りは無常にもアーロンよって踏みにじられ、この村の希望は潰えてしまいました」
「……」
「それではあんまりです。余りにもナミが救われない」
「……」
「……言ってしまえば今回の件に手を出したのは俺の勝手なエゴです」
「……」
結局、それは一人の少年のエゴに過ぎない。
ナミを助けたい、ナミの願いを叶えたい、一人の少女の頑張りを無駄にしたくない、アキトという少年の勝手なエゴだ。
「俺は自分の意志のもと行動したに過ぎません。ですから、ナミは今回のことに対して俺に恩義を感じる必要も、必要以上に考え込む必要はありません」
「……そっか」
ナミはアキトの答えに微笑む。
アキトの言葉が真実かどうかはまだ分からない。
しかし、此方に気を遣い、言外に気にする必要はないと言っているのだとナミは理解した。
ならばこれ以上の問いかけは無用だろう。
ナミはアキトの優しさに救われたような気がした。
ナミはアキトに微笑み……
「ねえ、アキト……」
──心からのお礼を──
「私の村を救ってくれて本当にありがとう」
彼女本来の満面の笑みでアキトに述べた。
対するアキトの答えは当然……
「ええ、どういたしまして」
これ以上の答えは持ち得ていなかった。
「よし、今日は飲むわよ!付き合いなさい、アキト!」
ナミが先程とは違い、憑き物が落ちたような笑顔でアキトに提案する。
「それにその堅苦しい言葉遣いはもう無しよ!もう赤の他人じゃないんだから!」
こんな顔で誘われたら断ろうにも断れない。
故にアキトの答えは既に決まっていた。
「わーったよ」
アキトは呆れた表情で頷いた。
「そうこなくっちゃ!」
ナミは上機嫌にアキトの手を引き、宴に引き返していく。
「よう、兄ちゃん!生ハムメロン、どうだい!」
「こっちは酒だ!」
「これも受け取ってくれ!」
「ナミちゃんも受け取ってくれ!」
道行く人からアキトとナミは
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