Epilogue ーナミの決意ー
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ある一軒家のベランダに座り、言葉を交わしていた。
「まったく本当にあんたがアーロンを倒すとはね。未だに信じられないわよ」
ノジコは未だにアーロンがアキトによって倒されたことに実感が湧いていなかった。
そんな彼女の横ではアキトがジョッキを片手に彼女の話を聞いている。
「だてに偉大なる航路から来たわけではないってことですよ」
事実、そうだった。
アーロンは所詮強くても東の海レベル
偉大なる航路で己を研鑚してきたアキトの足元にも及ばなかった。
「それでもよ。この8年間、私達はただナミの頑張りを見守ることしか出来なかったから……。どんな経緯であれあの子を救ってくれてありがとう」
そう言ってノジコはアキトに頭を下げる。
真摯な女性だ。
彼女からはアキトに対する感謝の念を強く感じた。
「気にしないでください。俺は当然のことをしただけです。それに、俺はただ力によるごり押しでこの問題を解決したにすぎません。お礼ならナミに言ってあげてください」
そう、結局自分は力による解決をしたに過ぎない。
それは皮肉にもアーロンがナミとこの村人達に強いていた支配と何ら変わらない。
アキト自身そのことは理解していたが、力を振るったことには何ら後悔はしていなかった。
ナミが救われないのは間違っているし、何より自分が納得出来なかった。
「そう言ってもらうと助かるよ。だけど、私達が救われたのは事実だからありがとう」
ノジコはアキトに改めてお礼を告げる。
ここまで彼女に言われて彼女のお礼を受け取らないわけにはいかない。
「ええ、どういたしまして」
アキトはどこか照れくさそうにノジコからのお礼を受け取った。
恥ずかしいのかジョッキに口をつけている。
「こんなところにいたの、アキト」
そんな中、ナミがジョッキを片手に近付いてきた。
ナミの頬はほんのりと赤く染まっており、酔っていることが伺える。
「……ちょっといい、アキト?」
ナミはどこか躊躇っている様子を見せながらも、アキトへと声を掛けた。
ナミに手を引かれる形で、アキトが辿り着いた場所は島の最端である丘
その場所からは海が一望でき、潮の音が時折肌を刺す微風と共に聞こえる。
「ここは……」
アキトはこの島から見える眼前の光景を目に収める。
宴会の騒音は消え、この場にはナミとアキトの2人しかいない。
そんな2人の目の前には誰かの墓標が静かに佇んでいた。
先程からナミの視線はその墓標へと注がれ、黙り込んでいる。
アキトは彼女にどう話しかければいいのか分からなかった
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