797部分:第六十四話 公孫賛、誰からも忘れられていたのことその十二
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第六十四話 公孫賛、誰からも忘れられていたのことその十二
「徐州はね。ちょっとね」
「あの地に進出してもよかったのですが」
「袁紹や曹操と境を接することになるからね」
それがだ。困ったことであると。孫策は顔に出していた。
「あの二人はややこしいからね」
「だからこそ御二人も徐州にはでしたね」
「進出しなかったのよね」
「我等三人にとってはあの地は」
「進出しにくかったのよ」
そうした事情があったのである。
「御互いに意識してしまうからね」
「そうですね。まことに」
「うちは只でさえ山越に袁術と接しているしね」
ここでは異民族と袁術は同列だった。
「どちらも揉めるタイプではないけれど」
「烏丸や匈奴に比べれば」
「それでも。安心はできないからね」
「袁術殿もややこしい人物ですから」
「目立ちたがりで気に入った相手をいじめたがるしね」
袁術のその性格をだ。見事に見抜いていた。
「第六感で動くからね、いつも」
「時折、いえいつも突拍子もない行動に出られます故」
「それが問題なのよ」
「そうした方が隣に控えていますので」
「そこで曹操や袁紹と接するのは」
余計に厄介な話を持ってしまう。だから徐州には進出しないのだった。
そうしてだった。孫策は今度はその曹操や袁紹の立場になって考えて述べた。
「袁紹は異民族の問題が多いしね」
「そこで我々や曹操殿と接しては」
「異民族の問題がおろそかになるから」
「それで避けたい」
「曹操は曹操でね」
「あの方の治められる州はまだ荒廃が見られています」
漢王朝の衰退で賊が多く起こっていてだ。それで牧に任じられ治めることを任せられたのがその曹操だというのである。それではであった。
「そこで徐州に進出されては」
「予州とかの統治どころじゃなくなるから」
「何処も。勢力の拡大は限界ですか」
「少なくとも徐州に進出できる余裕はなかったわ」
「それで劉備殿が入られた」
「本当にいいことよ」
孫策はにこりと笑って述べた。
「誰にとってもね」
「その通りですね。本当に」
「ええ。それでね」
「それで?」
ここで孫策の話がまた変わった。今度の話は。
「藍里だけれどね」
「あの娘ですか」
「あの孔明は妹だからね。再会させてあげようかしら」
「それはいいことですね」
姉のその提案にだ。孫権も笑顔になって述べた。
「あの娘も喜びます」
「そうよね。じゃあ使者ということでね」
「再会させますか」
「そうしましょう。じゃあね」
「はい、それでは」
諸葛勤をだ。徐州に向かわせることが決まったのだった。孔明にとってはだ。まことに思わぬ、そして嬉しい再会が来ようとしていた。
第六十四話 完
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