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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
796部分:第六十四話 公孫賛、誰からも忘れられていたのことその十一

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第六十四話 公孫賛、誰からも忘れられていたのことその十一

「どうされますか、その時は」
「そうね。その時はね」
「その時は」
「天命に従うわ」
 微笑んでだ。妹にこう話した。
「そうさせてもらうわ」
「天命にですか」
「天命には逆らえないから」
 だからだというのである。
「だからね。そうするわ」
「わかりました」
 孫権もだ。微笑んで応えた。
「では私もまたそれに従います」
「私にかしら」
「姉上に、そして天命に」
 双方にだというのだった。
「従います」
「その二つになのね」
「はい、双方にです」
 また言う孫権だった。顔は微笑んだままだ。
「私も天命には逆らえませんので」
「それだけにはね。人間は誰であっても逆らえるものではないわね」
「はい、まさに」
「ただ。冥琳だけれど」
 ここで孫策の言葉が微妙に変わった。
「近頃顔色がいいわね」
「そういえば確かに」
「前よりも元気になったわ」
 彼女のことをだ。こう話すのだった。
「いいことね」
「はい、冥琳は我が国の柱ですし」
 こう言って微笑む孫権であった。
「やはり。元気でなければ」
「その通りね。それじゃあ私達もね」
「姉上、そうです」
 ここでだ。孫権は真面目な顔になった。そのうえで姉に言うのだった。
「ですからお酒はです」
「控えろっていうの?」
「そうです。祭と共に昨日も朝まで」
「いいじゃない、お酒は」
 苦笑いになってだ。妹に返すのだった。
「百薬の長じゃない」
「そう言っていた者は実際は酒浸りになっていましたが」
「王莽ね」
「はい、あの者です」 
 前漢末期の人物だ。国を簒奪し皇帝になったとして稀代の悪人とされている。
「あの者と同じです、それでは」
「何か最悪な例えね」
「ですがお酒はです」
「気をつけろっていうのね」
「はい、あまり飲み過ぎぬように」
「やれやれね。最近この国も口煩い者が増えたわね」
 また苦笑いになって言う孫策だった。
「最初から二人いたけれど」
「菊と桜ですか」
「そうよ。お母様の頃から仕えているあの二人ね」
 揚州においては黄蓋と並ぶ長老である。ただし性格は彼女と違いかなり真面目で口煩い。その口煩さには孫策も勝てない程だ。
「あの二人は最初からいるけれど」
「彼女達の言うことは正論です」
「それはその通りよ」
「ですから聞かなければ」
「それでも厳しいからね」
 それがだ。孫策にとっては辟易すべきものであるのだ。
「どうにもならないわね」
「そして私もというのですね」
「そうよ。まあとにかくね」
「とにかく?」
「徐州の民にとってはいいことね」
 話をそこに戻した。

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