第一話
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幸と出会わなかったら死んでたんじゃないかな。ボクは万里みたいに純血の濃い血は引いてないからね。同じヴァンパイアと戦う事になったら間違い無く殺されると思うと怖くなって、ヴァンパイアが集まる所には眷属や使い魔を送ってるだけなんだ。」
東も被害者だと知ると至と万里は普段の様子に戻る。
「結局振り出しに戻るっと。」
あーあと言うふうに至が言うと「ごめんね。」と東が申し訳なさそうに言う。
「けど、相手は確実にハンターを使ってて、恐らく上層部のヤツらって事は解ってるだけでもいいんじゃねぇの?」
ふつふつと湧き上がる怒りを抑えながら万里は言う。
「昨日俺の使い魔にハンター協会探らせたらハンター協会自体が上層部と繋がってたからな。」
「じゃあ、ヴァンパイアハンターを動かしているのはやっぱりヴァンパイアって事か。」
「間違いねえな。」
重い沈黙が流れる。幸はぎゅっと東の服を掴む。
「あず姉、オレ達の劇団に来て。」
幸ははじめて東と出会った時の事を思い出し俯いていた。
「あず姉に傍にいて欲しい。」
「うん。ボクも幸と一緒にいたいよ。」
東は優しく幸の頭を撫でた。
「っし。帰っか。」
東の家を出ると万里は大きく伸びをする。
「ボクが劇団に行くまで、幸をよろしくね。」
「ああ。ちゃんと俺と万里で守るよ。劇団にはハンターもいるからね。」
「幸から聞いてるよ。けど、相手がヴァンパイアなら、十座と咲也も気をつけた方がいいかもね。特に十座は万里の嫁だからね。」
「その、嫁ってあんまり良く解らないんすけど・・・。」
「嫁はね。その主となるヴァンパイアの力の源であるのと同時にそのヴァンパイアの弱点にもなるんだ。ボクは幸と出会う前にも嫁がいたんだけどね。皆20歳になる前に死んじゃったんだ。20歳になるとそういう心配は無くなるんだけどね。」
だから気をつけるんだよと東は念を押す。
「っす。」
十座は小さく返事を返す。
「まあ、万里はそう簡単に死ぬようなヤワじゃないから心配はいらないけど、十座は人間だからね。いくら嫁の印が他のヴァンパイア避けだとしても、相手が人間を使ってきたら意味が無いって事。俺も過去に何度か嫁候補殺されちゃってるし。だからこうして咲也は守ろうって決めてるんだけど。」
至は咲也の頭を撫でて言う。
「至さん。」
咲也は少し照れたように顔を赤らめる。
「ヴァンパイアを殺すのも人間、人間を殺すのも人間。本当最悪。」
幸はうんざりしたように言う。
「ま、兵頭は大丈夫だろ。前に俺と喧嘩で勝った訳だし?」
「そういう油断が命取りになるんだよ、万里。」
東が窘めるように言うと「へいへい。」と万里は軽く返事を返す。
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