第一話
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ろすと話を促すように至が言う。
「えっと・・・。」
太一が話そうとするのを幸が遮る。
「ヴァンパイアがこの劇団にいるって話。」
至は一瞬眉に皺を寄せるが、直ぐに爽やかな表情に戻る。
「へえ。で、誰?」
「万ちゃんっす。」
「万里が?でも何で解ったの?」
「解ったのは・・・。」
太一と幸の視線が十座に行く。
「まさか血を吸われちゃった系?」
至が尋ねると十座は小さく「っす。」と応える。
「ふうん。で三人はヴァンパイアについてどう思ってるの?」
「お、俺はやっぱり・・・こ、怖いっす。」
太一が声を震えさせながら言う。
「俺は別に・・・。」
十座は解らないと返す。
「ヴァンパイアにもよるんじゃない。オレが知ってるのは万里入れて二人だけど。」
「へえ。もう一人は?」
「言っても解らないでしょ。あの人ほとんど外出しないし、他のヴァンパイアと会ってるのかも謎。」
幸の言葉に至は興味津々に耳を傾ける。
「幸はそのヴァンパイアが好きなんだ。」
至が言うと幸は顔を真っ赤にする。
「でも、ヴァンパイアと結ばれる事は滅多に無いからね。」
「それが至さん。幸ちゃんはヴァンパイアの嫁らしいんす。」
「マジか。キタコレ。やっぱり相手教えて。」
「・・・それより、至はヴァンパイアの事どう思ってるのか聞いてない。変にハンターとか雇われたら嫌だからね。オレ。」
キッと睨んで言う幸に参ったと至が頭をかく。
「君達には話しても良いかな。俺も実はヴァンパイアなんだ。万里とはかれこれ800年の付き合いかな。」
三人は目を丸くてし至を見る。
「な、何でここにいるんすか?」
太一が警戒するように尋ねる。
「太一は本当にヴァンパイアが怖いんだ。昔何かあった?」
「そ、それは・・・。」
「俺がここに来たのはたまたま嫁を見つけて印を付けに来た時に、本当に偶然かな?監督さんにスカウトされちゃってね。俺がヴァンパイアだって知らないみたいだから黙っていただけだよ。」
「じゃあ、至の嫁もここにいるんだ。あず姉も誘うかな。」
少しはにかんだように幸が呟く。どうやら幸はそのあず姉と呼んでるヴァンパイアにかなりのご執心だとそこにいる誰もが理解した。
「あず姉・・・あず・・・。」
至が考えていると幸が「雪白東。知ってる?」と尋ねる。
「ああ。東さんか。何回か会ってるけど、余り話した事は無いな。」
至はそう言うと、ふと力を失っていた万里がヴァンパイアの力を取り戻した事を思い出す。
「十座ってもしかして万里の嫁だったりする?」
至の唐突な質問に幸と太一の視線が十座に行く。
「首に跡とかある?」
「・・・あるっす・・・。」
それは聞き取れるか聞き取れないくらいの小さな声だった。人間より聴力がいい至は「マジか。」と驚いたように言う。
「でも、
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