第4章:日常と非日常
閑話11「日常の裏側で」
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=out side=
「………………」
とある海岸で、一人の少年が釣りをしていた。
彼にとって釣りは趣味のようなもので、釣果は釣れていれば夕食などのおかずになって御の字程度にしか捉えていなかった。
そして、今日も釣りをしていたのだが…。
「……ん?…えっ?ちょっ……!?」
今までにない程の重さに、少年は立ち上がって踏ん張る。
「(明らかに、魚の引きじゃない……何かに引っかかった!?)」
それは魚が逃げようとする重さではなく、重いものを手繰り寄せるような重さ。
何かを引っ掛けてしまったのかと少年は思い、ゆっくりとリールを巻いた。
「よし、もうす…ぐ……?」
ようやく姿が見えてきた所で、少年は硬直する。
何せ、見えてきた“それ”は、緑のような服と茶髪のようなものが見えた。
…つまり、人の姿をしていたのだ。
「っ……!?」
引き寄せたため、もう浅瀬まで来ていた。
少年は慌ててそれに駆け寄り、陸へと上げる。
「…女の子…?」
釣り上げた“それ”は、柳緑色の着物を着ており、ポニーテールのように茶髪を括っている少女だった。
尤も、びしょ濡れなため少年にとってそれどころではなかったが。
「し、死んで……」
ぐったりとしている様子から、ついそう思って触れようとする。
すると……。
「ぅ………」
「っ…!?」
“ぴくり”と、少女が動き、少年は手を引っ込める。
「お……」
「……?」
「お、お腹空いた、にゃぁ………」
ぐったりとしたまま、少女は呻くようにそういった。
同時に、空腹の証である腹の音が鳴った。
「(どうしよう…今、釣った魚ぐらいしか食べ物ないや…)」
少年はいつも夕飯には釣りを切り上げる習慣だったので、食べ物を持っていない。
おやつとして持ってきた食べ物も既に食べてしまっていた。
よって、釣ったばかりの魚しか食べ物はなかったのだ。
「ま、待ってて今コンビニで何か…」
「……んー……お魚のニオイにゃっ!」
「わっ!?」
いきなり目を開き、少女は少年が魚を入れていたバケツに飛びつく。
そのまま、生の魚を食べ始めた。
「え………え……!?」
それを見て、少年は二度驚く。
一つは、少女が生で魚を食べ始めた事。
…もう一つは、少女の頭と腰に猫の耳と二本の尻尾があったからだった。
「……猫…又………?」
別に詳しい訳ではない。だが、ポピュラーな妖怪であるため、少年にも分かった。
自分の事を言われたのに気づいたのか、少女は振り返る。
ちなみに、魚は
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