ペルソナ3
1825話
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残念だ。俺は結構ゆかりが好きなんだが」
そう言った瞬間、舞子は両手で自分の顔を隠してきゃーっ! といった悲鳴を上げる。……歓声か?
そしてゆかりの方はと言えば、顔を真っ赤に染めながら俺を睨み付けてきた。
「なっ、いきなり何を言ってるのよ! 馬鹿じゃない? ってか、馬鹿じゃない!」
いつものように、混乱すると同じ事を2度言うようになる癖は変わっていないらしい。
まぁ、それは別にいいんだが。
「ワンワン!」
俺達のやり取りを黙って見ていた犬は、不意に吠える。
それが何を要求しているのかというのは、容易に想像出来た。
手提げバッグの中に手を入れ、そこから出したように見せかけて空間倉庫から缶詰のドッグフードを取り出す。
「え? あれ? お兄ちゃん達、そんなの持ってたっけ?」
「ああ、持ってたぞ。気が付かなかったんだろうな。初めて会うゆかりがいたし」
相手が小学生の舞子だからこそ、このごり押しで何とかなる。
いや、場合によってはそんなのは嘘だ! と言ったりする相手もいるかもしれないが、幸いな事に舞子はそんな風に言ってきたりはしない。
「え? うーん……そうだっけ?」
不思議そうにしている舞子だったが、そんな舞子の注意を逸らすかのように、袋の中から色々な料理を取りだしていく。
どれもスーパーで買った出来合のものだったが、それでも舞子にとっては、十分目を引くだけの衝撃だったのだろう。
「うわっ、美味しそー! ね、お兄ちゃん、お姉ちゃん。これ、舞子も食べていいの?」
「ええ、舞子ちゃんも一緒に食べましょう。こうして天気がいいんだし、ピクニックに来たと思えば、ちょうどいいわよね」
ゆかりの言葉通り、今日の天気は行楽日和と言ってもいい日だ。
いっそ、この神社じゃなくてどこか山とか湖とか、そういう場所にピクニックに行くのも面白かったかもしれないな。
幸い……って言い方はどうかと思うが、俺の影のゲートがあれば、移動時間なんてあってないようなものだし。
もっとも、移動する時の時間も遊びに行く醍醐味だと言われれば、それを否定する事は出来ないが。
少なくても、新幹線とか電車に乗って駅弁とかを食べるような時間的な余裕がないのは間違いないのだから。
人によっては、味気ないと考える者もいるだろう。
俺なんかは、移動時間とかは無駄に感じるから、特に問題はないのだが。
その辺は性格によるんだろうな。
「ワンワン!」
自分にも、と吠えてくる犬に、こちらも取り出したドッグフードを渡す。
缶詰タイプの、それなりに高級な代物だ。
犬はそれを見ると、嬉しそうに尻尾を振りながら食べ始める。
「はい、舞子ちゃん。これで手を拭いてね」
「ありがとー、お
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