第百九話 イゼルローンの朝駆け
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く憲兵が来てビッテンフェルトを連行していこうとする。
「傷害の現行犯で連行する」
「はぁ?俺は悪くないぞ」
「良いから来なさい」
文句を言うがそんな事はお構いなしに、ガタイの凄く良い憲兵に押さえられて、ビッテンフェルトは憲兵隊護送車に乗せられ連れ去られていった。
十数分後に憲兵隊本部へと、招待されたミッターマイヤーが見たのは、応接室でふて腐れた顔で座っているビッテンフェルトだった。
「どうしたビッテンフェルト?」
「おう、ミッターマイヤーか、どうもこうもない、あの後帰るとき肩が当たったと口論になったら、憲兵隊が来て、此処へ連れて来られたまま放置だったんだ。全く忌々しいったらありゃしない」
「卿らしい、連行のされ方だな」
「そう言う卿は、何をしたんだ?」
不満顔も何のその、品行方正なミッターマイヤーが憲兵隊に連れて来られたことに興味津々のビッテンフェルトが聞いてくる。
ミッターマイヤーは一つ担いでやろうと思い嘘をつく。
「俺は婦女暴行の容疑者だな」
「なんと、やはり奥方と離ればなれは辛いのだな」
ビッテンフェルトらしからぬ言動に驚く。
「嘘だ、ビッテンフェルト」
「何だ嘘か」
「素っ気ないな」
「卿がそんな事をしないことは、俺が保証する。ロイエンタールは保証出来んがな」
そう言いながらビッテンヘルトはニヤリと笑う。
「違いない」
「ハハハ」
「ハハハ」
笑っている最中に扉が開き、先ほどの女性が士官服を着て現れた。
「ミッターマイヤー少佐、ビッテンフェルト少佐、ご足労いただきありがとうございます。小官は憲兵隊総監部第7課マリーシャ・フォン・グリンメルスハウゼン大尉です」
「グリンメルスハウゼンと言うと、憲兵隊総監グリンメルスハウゼン大将閣下の縁者の方ですか」
「はい、孫になります」
「なるほど、殿下は我々にどの様な御用でしょうか?」
「おい、ミッターマイヤー、殿下って誰だ?」
「ビッテンフェルトは知らんのだな、テレーゼ殿下のことだ」
「はっ?卿はテレーゼ殿下と知古なのか?」
「言ってなかったが、俺とエヴァの大恩人だ」
「なんと、驚きだ」
「えーと、宜しいでしょうか?」
「あっ申し訳ない」
「ご両人をお呼びしたのは、他でもありません、ミッターマイヤー夫人からのビデオレターを渡すためです」
身構えていたミッターマイヤーとビッテンフェルトが呆気に取られる。
「その為に、俺達を呼んだのか?」
ビッテンフェルトが大声を出すが、グリンメルスハウゼン大尉は冷静に一言。
「冗談ですよ」
「で、本当の御用は何なのですか?」
「ビデオメール自体は本当ですが、その後があります。極秘事項ですから他言無用に願います」
「殿下のご命令と有れば無論」
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