暁 〜小説投稿サイト〜
ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
涙-ティア-
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シュ…」
テファは、シュウの表情に変化が出たことに気づき、自分も彼に言葉をかけた。今なら、自分の言葉も届く。そう確信して。
「リシュの言う通りよ。自分を責めないで?あなたは十分に頑張ったわ。みんなのために、大切な人のために身を削り続けたんだもの。アスカさんも愛梨さんも…許してくれるはずよ?」
シュウにそっと手を触れ、ひたすら強く、彼の安寧を祈りながら、言葉をかけ続けた。
「…頑張った…俺が…?」
少し前の自分なら、『俺にそんなことを言われる資格はない』と否定できたかもしれない。でも、自分がしなければと思ってきたことが全て無残な結果に終わりつつあった今の彼には、彼女たちの眼差しと言葉は、シュウの心を溶かすほどの力があった。
「もう休みましょう、ね?あなたが自分の平穏を望んでも、誰も責めたりなんかしないわ」
「…俺は…………」
自分がかつて死なせてしまった、セラたち内戦地の多くの人たち。その事件で不幸にしてしまった姫矢准。病に侵された果てにビーストに殺されてしまった愛梨。それらの重い過去をただ引きずって、自分を心配する人たちの気持ちを無視する自分に「終わったなんて言ったらだめだ」と、手を差し伸べたアスカ。彼らへの償いのために、シュウは戦った。
罪を背負った自分には優しい言葉をかけられたり、救われる資格なんてない。手を取ってもいけない。そうしてしまえば、過去の罪から逃げることになるから。罪を軽く見ている、甘ったれていると思えてならず、かえって自分が許せなくなってしまうから。
自分の周りで必ず不幸が起こる今、その手を取ったら…自分に手を差し伸べた人さえも不幸にするから。だから、ティファニアやアスカの自分に対する優しさを否定した。
しかし、どれほど否定しても、結局また最悪の結果ばかりが起こる。
繰り返される地獄のような現実に疲弊したシュウは、自分以外の誰かからの優しさを跳ね除ける余裕もなかった。
「済まない…ティファニア…俺は…俺は…」
他者からの優しさを拒否してきた自分のせいで、ティファニアを傷つけてしまったことを謝ることができた。
彼の中から、ずっと溜め込み続けていた水がダムを突き破るように溢れ出た。

愛梨を失って以来、もう枯れ果ててしまったと思っていた…涙が。

「ぐ……うぅ……うあああ…ああ…」


ティファニアは、そんな彼をそっと抱きしめ、自分も涙した。
やっと…彼の心に触れることができた。そう確信しながら。

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