暁 〜小説投稿サイト〜
ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
涙-ティア-
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お兄ちゃん!」
「…寄るな。熱がうつるだろ」
彼の顔を見てテファとリシュの二人が顔を覗き込んでくると、シュウは寝返りを移して近づいてきた彼女たちから顔を背けた。
「…看病してもらってたのにその言い方はないでしょ?」
さっきまで彼の容姿に見とれていたところがあったのが嘘のように、モンモランシーはシュウの言動に対してため息を漏らした。だがシュウはなにも答えようとしなかった。
「…まぁいいわ。そろそろ私もここで引き上げるわ。またギーシュが他の誰かにちょっかい出すかもしれないし。
ティファニア…だったわね。なにかあったらすぐに言いなさい」
「はい、ありがとうございました」
モンモランシーもまた部屋を後にしたところで、テファは再びシュウの方に体の向きを変えた。
「…シュウ、体は平気?」
「…はっきり言って…最悪だ。本当ならこんなところで、寝ている場合じゃないはずなのに…」
「ねぇ、お兄ちゃん。熱、いつ治るの?」
「さあな…いつも以上にしんどく感じる」
つみ隠さず、容態を問われたシュウはそのように答えた。自分の不甲斐無さに対して、彼はまだ引きずり続けていた。
「…情けないよ、本当に。今度こそヘマをしない。そのつもりで戦ってきたのだが…結局知っての通りだ。俺は…助けたいと思っている人であるほど、それを救えずのうのうと生き残るできそこないだ」
虚ろな目で、シュウは空を見上げる。今もなおアルビオン大陸で捕まっているアスカのことを考えていた。アルビオンを包む謎のバリアのせいで、アスカを助けるどころか突入することもできない。ましてや、これ以上戦うと自分がどうなってしまうのかもわからない。ムカデンダーやメフィストと、そしてアスカを助けに向かおうとしたあの時のように、我を失って暴走しだすことも考えられた。
精神も肉体も、こうして体調を崩して静養せざるを得ないほど限界ぎりぎりまで使い果たし、変身したところでとても戦える状態とはいえなかった。
助けたくても、さらに事態を悪化させてしまう可能性が大きかった。
「……」
テファはシュウから話を聞いたあの時、涙がでそうになった。
アルビオンから脱出する際にメンヌヴィルと遭遇したとき、モルヴァイアの花が見せた幻影の愛梨を見たシュウが、彼女がすでに死んでいたことを語っていたが…。人類のためにも、病に侵された彼女のためにも、汚い手に染めてでも奔走していたのに、その全てが否定され、もっとも残酷な形の結果しか出なかった。挙句の果てに、大切に思っていた少女を亡くしていたとは…。心優しさを持つティファニアには、心を痛めずにいられないことだった。
「お兄ちゃんはできそこないなんかじゃないよ。だって、リシュたちはこうして生きてるもん。お兄ちゃんがいなかったら、こんな風に手を握ってあげることもできなかったんだよ?」
「リ
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