涙-ティア-
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ンモランシーはどこかムキになったようにそっぽを向く。ラグドリアン湖でシュウと偶然会ったとき、彼氏のギーシュの目の前だと言うのに、彼の端正な容姿に目を奪われたくらいだ。当時と同じ理由だろう。
「にしても、ここまで疲労しているなんて…ウルトラマンもいいことばかりってわけじゃないのね」
「え…もしかしてあなたシュウのこと…!?」
モンモランシーの口ぶりから、テファは察する。この人もシュウがウルトラマンであることを知っていたことを。
「あぁ…実は、前にたまたまあいつが変身したところを、この子も俺もたまたま見てたんだ」
「そう…」
サイトの説明で、テファも納得する。しかし、サイトは改めて思い返すと、シュウが少々無用心な気がした。ヒビノ・ミライ=ウルトラマンメビウスの一件や、ミシェルが自分からウルトラゼロアイを奪った件もある。下手に正体が知られることはかなりリスキーなのだ。
「もしかして、あなたも知ってたの?彼がウルトラマンだってこと」
「ええ。薄々そうなんじゃないかって思ってはいたけど…信じたくなかった」
「なんで?」
親しい人間がウルトラマンということはかなりの自慢にもできるはずだ。モンモランシーは疑問を抱くが、テファは首を横に振る。
「戦いなんて、私には辛いだけ…まるで、自分から平和のための生贄になっていくみたいで…」
脳裏に、シュウがウルトラマンとして戦っていたときの光景が蘇る。どの戦いも熾烈を極め、見ているこちらを不安にさせるには十分すぎた。争いを決して好まないテファにとってそんな光景は、たとえシュウが自分たちを守るための正当なものだとしても、苦痛が大きすぎた。
それに…更なる不安もある。
最初に夢で見た時、ウエストウッド村を襲ったムカデンダーと戦ったとき、そしてアルビオンでメフィストとぶつかったときに見せた『あの姿』…。
獣のごとき咆哮をあげ、敵を蹂躙しつくす悪魔同然のあの姿。いつかまた、戦いに赴くことで同じことが起こるのではという不安がよぎる。もしそうなったら、メンヌヴィルがいつぞや言っていたような、絶対にあってほしくないことが起きてしまうのでは?だから願わくば、もう彼には二度と戦ってほしくなかった。
「お姉ちゃん、元気出して?」
「ありがとう、リシュ」
テファの気持ちが沈んでいるのを理解し、リシュが彼女の手を握る。手から感じるそのぬくもりで、少しだけテファは気持ちが軽くなった。こんな年下の子に気を遣われてしまうとは、これでは町の孤児院に預けてきた村の子供たちに顔を合わせづらい
(『生贄』…言い得て妙ね)
テファの反応に対し、モンモランシーは困惑した。だが、わかるような気もした。ギーシュも、本当は臆病で見栄っ張りなくせに、よくかっこつけては危険に飛び込むこともある。なんだかんだ言いつつも自分を案じてくれているモンモラ
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