涙-ティア-
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リステインは軍用強化と街の復興、そしてあのバリアを打ち破る方法の解決案を出すべく、ここ最近までの通り守勢に回らざるを得なくなった。しかし同時に、敵が自分たちの縄張りに強力なバリアを張ったということは、敵側もこちらを攻めることを一時中断していると考え、しばらくの間トリステインにはつかの間の休息と平和が結果的に約束されたことになった。できればもう何も起こらないことを願いながら、サイトたちは少しでも平和だった頃の日常を取り戻すべく、日々を過ごし始めるのだった。
これにより、魔法学院も校舎の修復作業を進めつつ、急いで通常通りの授業を行う準備を始めた。
ようやく戻ってきたシュウを見て、ずっと彼の帰りを待っていたリシュはロケットのごとく彼の胸に飛び込んできたときも、まるでドミノが倒れたかのようにそのまま学院の芝生の上に横たえたほどの喜びを示したが、ここである出来事が起こる。
これまで連続してハードな戦いが続いた結果…
ついに彼は熱を出して倒れてしまった。
様子を見に部屋に入ったときは、いきなり倒れたさまを見せ付けられたこともあり、サイトやティファニアは特に動揺させられた。当然すぐに水のメイジとしてモンモランシーが呼び出され、発熱に効くポーションを作らされている。
「ぐぅ…うぅ…」
酷い熱だった。ベッドで寝かされたときの彼は大量の汗を流し、かなり赤くなった顔をさらけ出していた。ティファニアはとにかく冷水を絞ったタオルで、彼の汗を拭いていく。
「お姉ちゃん、ずっとお兄ちゃんを拭いてるけど、休まないの?」
傍らで見ていたリシュが不安げに呟く。
「…ずっと彼は無茶してきたんだもの。これくらいなんともないわ」
「でも、お手手が…」
リシュの目に、テファの両手の指先が目に入る。普段は白く美しかった指が、タオルを絞る際に冷水を何度も浴び続けたために、赤くふやけていた。
「リシュのいうとおりだぜ。テファまで無理をしなくたっていいさ」
そのとき、サイトがモンモランシーを連れてやってきた。
「これ、発熱を抑えるポーションよ。飲ませてあげて」
「ありがとうございます…」
テファはモンモランシーからポーションの小瓶を受け取り、シュウの口に流し込む。
「全く、いきなりポーション作れだなんて、ルイズの使い魔なのに人使いの荒いこと」
「悪いモンモン、けどこの人のことすぐに助けないとって思ったら、モンモンが一番頼れるかなって」
惚れ薬なんてとんでもないものまで作ったのだ。水のメイジは治療の魔法も得意だと知り、なら病気に効く薬は手の者だと思ったサイトは、モンモランシーに真っ先に頼み込んだ。
「けど、最初は渋ってたわりに患者がシュウのことだって知った途端、妙に手のひら返したな」
「い、いいでしょ別に。病気の人を見捨てられないし」
サイトから問い詰められたモ
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