79部分:第八話 董卓、城を抜け出すのことその一
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第八話 董卓、城を抜け出すのことその一
第八話 董卓、城を抜け出すのこと
「ちょっと華雄将軍」
「どうした?」
銀髪の短い美女がいた。鋭利な顔立ちに鋭い目をしている。胸はブラの如き鎧をしているだであり後ろに長いリボンが見える。目は鳶色だ。
スカートは深くスリットが入っており両足はタイツで包んでいる。腕にはそこだけの服がある。どの色もダークグレーとなっておりスカートには赤い蝶の模様がある。そうした格好の女が小柄で眼鏡をかけた緑の髪の少女に応えていた。
少女の髪は一見すると短いがそうではなかった。後ろで二つに分けて編んでいる。その前髪がぴんと張っていてやけに目立つ。黒いミニのスカートを着ていて上には白いエプロンの様な上着を身に着けている。脚は黒いストッキングで覆っていてブーツも黒だ。まだ幼さが残るが随分と気の強そうな表情をしている。黒い目の光も強い。細い眉があがっていて瞳は黒である。
「いきなり」
「月、いえ」
ここで自分の言葉を一旦訂正させた彼女だった。
「董卓様がいないのよ」
「何、またなのか」
「そうなのよ」
こうその華雄に言うのである。背の高い彼女を見上げてだ。
「またなのよ」
「ふむ、そうか」
「ちょっと、何で落ち着いてるのよ」
少女は怒った声で華雄に対して言ってきた。
「そんなに。どうしてなのよ」
「落ち着け賈駆」
華雄はその彼女の名前を呼んで逆に言葉を返した。
「そんなに慌てて怒ってどうする」
「これが慌てない状況!?」
しかし賈駆はまた華雄に言い返した。
「領主様がいないのよ」
「だからいつものことではないか」
二人は今屋敷の廊下にいる。そこであれこれと話をしているのである。賈駆の方がかなり焦ってそのうえで怒っているのである。
「それは」
「いつもでも何でも大変なのよ!」
賈駆の言葉は変わらない。
「そんなのわからないの!?」
「確かに領主がお忍びで城を出てな」
「そうよ、領内を見回ると言ってそれで共も連れずにって」
「あの方は真面目だからな」
「真面目とかそういう問題じゃないわよ。曹操も袁紹もね」
この二人の話もするのだった。
「そこまでしないじゃない。ちゃんと領地はまた経営してるでしょ」
「下々の暮らしを見て回るというのはいいことだろ」
「それはね」
これは賈駆も否定しない。
「領民と直接触れ合うのはいいことよ」
「まあそれはな」
華雄もそれは悪いとはしない。
「いいことだ。しかし最近はな」
「そうなのよ。領内の辺境の山賊討伐に忙しく」
賈駆は言う。
「そっちに人手を取られて逆に長安周辺の治安が悪くなってきているし」
「私だけで何とかしている状況だからな
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