暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
コラボ
〜Cross over〜
Superstition;迷信
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ら脱した黒雪姫は、黒揚羽のアバターから生身の身体に戻った身で、先刻まであの揺らぎのあった会議用テーブルを見るが、やはりというか当然のようにそこには何もなかった。

ブルーワールドの景色は、治安監視網(ソーシャルカメラネット)の映像から作られる3Dマッピングにて自動生成されるものだ。てっきり役員の誰かが大きな荷物―――例えば大きめの花瓶だとか―――を置いたりして、そこに常からある生徒会室のデータが被ることによって起きたものではないか、という推論を立てたのだが、それも空振りらしい。

「やはり、ラグが何かだったか……」

おとがいに指を這わせる黒雪姫の聴覚に、そこで軽やかな電子音が響き渡った。

音声通話の着信ボタンが青白く点滅し、それを反射的に押す。それが非通知のものだと分かったのは通話中を示すアイコンが仮想デスクトップ上に浮かんだのと同じくらいだった。

『よう』

頭の中で弾ける幼くもドスのきいたハスキーボイス。

その声に聞き覚えがあった黒雪姫は知らず、渋い表情を浮かべながら声のトーンを下げた。

「なんだ、貴様か」

『なんだとはご挨拶だな、黒いの』

そう言って赤の王――――《不動要塞(イモービルフォートレス)》スカーレット・レインこと上月(コウヅキ)由仁子(ユニコ)は、けらけらと笑った。










ことは一週間前。二〇四七年一月二三日になる。

赤の王スカーレット・レインが仕掛けたソーシャルエンジニアリングに嵌った黒雪姫の《子》であるシルバー・クロウは、その唯一無二である飛行(アビエーション)アビリティによる助力を求められた。

その内容は、もはや加速世界の負の遺産とも言うべき《災禍の鎧》――――《クロム・ディザスター》討伐作戦だった。

黄の王まで絡む一大騒動の果てに、何とか黒雪姫達は《鎧》を討ち取ることに成功したのだ。

その際、レインの《かんしゃく》によって黒雪姫は黒焦げにされて死にかけたりしたのだが、そこは割愛してもいいだろう。

その練馬戦域の支配者である赤の王は、遅まきながらの事後報告のようなものを言いたく、音声通話をかけてきたらしい。

『約束通り、プロミ(ウチ)のモンは杉並には手を出すなって伝えたぜ。これで少なくとも、今週の領土戦からは停戦協定が通じるはずさ』

「そうか……」

少なくないリスクが生じた《災禍の鎧》討伐作戦だったが、無論黒雪姫達《ネガ・ネビュラス》もそれにただで助力するほどお人好しではない。

見返りとして赤の王率いるレギオン《ザ・プロミネンス》に対して、領土戦における無期限停戦協定を要求したのだ。

三ヶ月前、シルバー・クロウvsシアン・パイル戦にかこつけて、大衆の前で格好よく復活宣言などをのたまった
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