ペルソナ3
1824話
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ゆかりも、この1ヶ月が濃厚な日々であった事は否定出来ない事実なのだろう。
俺の言葉に、大人しく頷いてくる。
「そうして時間を共にしたけど……それでも、俺にお前の抱えてる事は教えられないのか?」
「それは……」
ゆかりが俺の言葉に黙り込む。
そのまま部屋の中には沈黙のみが満ちる。
影時間である以上、周囲の部屋の声や、道路の騒動とかも聞こえてはこない。
つまり、こうしている間に俺達は周囲の状況とかを気にする必要はない訳だ。
「……お父さんが、ね。いたのよ」
やがて、その沈黙を破るようにゆかりが口を開く。
いるではなく、いた。
つまり過去形という事は、ゆかりにとってその父親は既に存在していないという事になる。
「その、こことは違う世界にいたアクセルは知らないと思うけど、今から10年前にこの辺りで大きな事故があったの。……それを起こしたのが、私のお父さんらしいわ。それで、お父さんが働いていたのが、桐条グループの研究所で……」
「あー、なるほど。つまり、その事故を起こしたのはお前の父さんだったのか?」
「違うわ! ……いえ、世間一般ではそう言われてるけど……」
最初に大声で否定し、次の瞬間にはそう告げる。
ゆかり自身にも、その辺りの事情は分からないのだろう。
「何か手掛かりとかはないのか?」
「……一応、アクセルが来るちょっと前、2月9日にお父さんから手紙が届いたんだけど……」
「うん? ちょっと待て。お前の父さんはまだ生きてるのか?」
「……いえ、手紙は10年前に出された手紙よ。郵便局には、そういうサービスがあるらしいわ」
「あー、なるほど」
タイムカプセルとか、そんな感じか?
それで、10年後の自分に手紙を出すとか。
まぁ、今回は父親から娘に対してだから、微妙に違うかもしれないが。
ともあれ、その辺りの事情は分かった。
「事故があった時は、TVや週刊誌の人達は皆が揃ってお父さんのせいで事故があったって言ってたわ。それで取材とかそういうので家にも……」
悔しげな表情を浮かべるゆかり。
どうやら、この世界でもマスコミはマスゴミと呼ばれるに相応しい真似をしているらしい。
そういう意味では、シャドウミラーはマスコミとかそういうのがないからいいよな。
勿論それはあくまでもシャドウミラーだけの話であって、シャドウミラーと繋がっている他の世界では話が別だが。
他人に対して知る権利を主張する奴は、いっそ、自分の私生活の全てを取材対象の知る権利で全世界に公表してやってもいいと思う。
ふと、脳裏に知り合いのパパラッチの姿を思い出す。
学生の時からパパラッチとして活動していたその女は、現在ジャーナリストとして活動中だ。
学生時代には色
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