第7話 釈迦堂の選択
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のが士郎が仕送りして来た次の日だったのだ。
士郎であれば多少の故障も自力で、重度の酷いのでも魔術の強化で応急処置位は出来たが、彼らは別に藤村組の傘下では無いので、その様にも無理して頼めなかったのだ。
こうして姉弟達+αは今日も腹を満たす為、自然の恵みで飢えを凌いでいるのだった。
「イテテ」
「グゥッ」
ちなみに今回の原因の2人は、亜美から鞭による(見た目ほど酷くは無い)手酷い仕置を受けて、負傷したところを擦り続けている。
そんな彼らの前に殺戮執事が現れる。
「嘆かわしいな赤子。才能の塊だった男がこのような末路を辿るとは」
「あん?手前、昔爺のとこで見たヒュームだったか?」
「フン、そのくらいは覚えていたか。――――お前ほどの金の粒を磨かずに放置しておくなど、鉄心の奴め、孫娘を士郎の小僧に任せている件と言い、怠慢にも程がある」
「っ」
「?」
相当皮肉ったヒュームだが、ここまで捻くれた釈迦堂がこの程度で反応するのが意外だったので、思わず怪訝な顔を向ける。
対する釈迦堂が反応したのはヒュームの皮肉――――などでは無く、士郎と言うキーワードだ。
釈迦堂は以前士郎から突き付けられた決断と期限から逃れる為だけに、隠形の修業と基礎鍛錬を再開する様になったのだ。
勿論そんな事を知る由も無いヒュームは自分の都合を続ける。
「今のお前では川神院に戻る気も無いだろうから、俺が就職先を斡旋してやろう」
「だから堅気になれってか?この俺に?」
「無理無理ッ〜♪師匠は社会不適格者だからな〜」
「そうだね」
「だな」
「だね〜」
「お前らにだけは言われたくねぇんだよ!」
庇うどころか冷やかしてくる弟子たち+αに怒鳴る釈迦堂。
無論茶番に付きあうつもりは毛頭ないヒュームは話を進める。
「だとしたら川神らしく腕ずくだ。俺が勝ったら就職しろ」
「なら、俺が勝ったら俺達に金輪際手を出すんじゃねぇぞ?」
「貴様は俺を見て力量の差が判断できんのか?」
「あー、強ぇーさ。けどだからこそ見せてやるぜぇ、アウトローの底力をな!」
釈迦堂が自分に向けて放ってくる拳をヒュームは見下す。
(ハンデで一発くらい喰らってやるか)
「フン、下らな・・・ッッ!!?」
ヒュームにとっての予想外な程の威力は、彼の年老いたとはいえ未だ無敗(引き分けはカウントされない)を誇り、気によって鍛え上げられた鋼の肉体に多大な負荷を与える程絶大だった。
「グゥッ!」
あまりの負荷により、軽い吐血を口内だけで処理し、決して漏らさなかったのは弱みを見せぬ殺戮執事のプライド故である。
その代わり眼光の鋭さをさらに増して釈迦堂を睨み付ける。
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