第百八話 キルヒアイス、担がれる
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ななんんんだー!!!!」
「起きたか?」
火薬の臭いの中、マチアスは何が何だか判らない状態でパニクっている。
次第にハッキリしてくる意識の中で、いきなりの攻撃に怒りが沸々と沸いてきたが、その怒りをぶつける前に、再度バズーカ攻撃を食らうと、部屋の四方の壁が外れて、外側へと倒れていった。外を見ると荒涼とした原野が広がっているだけであった。
マチアスは呆気に取られるが、そこへ憲兵隊総監副官ケスラー大佐が現れマチアスに引導を渡す言葉を放った。
「カール・マチアス・フォン・フォルゲン、卿をサイオキシン麻薬密売人の元締めとして逮捕する」
呆気に取られ、動揺しながらも、嘯くマチアス。
「ししし証拠は有るのか!」
そう言われたケスラーの手にはマチアスがサイオキシン麻薬を売人に受け渡す姿がハッキリ映った写真が握られていた。
「どうだね、証拠は未だ未だあるのだけどね」
ケスラーの言葉に、更に動揺するマチアス、更に次々に出されてくる証拠の山に真っ青な顔になっていく。
「うわーーーー!!!」
マチアスはいきなり崩れ落ちて叫びはじめた。
「カール・マチアス、それでは来て貰うぞ」
そう言われて、マチアスは憲兵隊が仮設した庁舎に引き立てられて行った。
その頃帝国全土でも各地の憲兵隊上層部及び内務省警察局長ハルテンベルク伯爵以下の幹部が4日後のXディーに向け準備を終え、手ぐすね引いて待ち構えていた。
帝国暦482年10月18日
■リューゲン星域 カイザーリング艦隊旗艦テュービンゲン
ラインハルトは、装甲擲弾兵のお誘いから逃げるために数日前から仮病を使い自室に隠れていた。特にヘールトロイダ曹長が強引に誘いをかけてくるのが、嫌で嫌で逃げているのである。キルヒアイスから相談を受けた、カイザーリング中将は笑いながら、暫く休むように告げたのである。
ラインハルトが当直明けに食堂で食事中にヘールトロイダ曹長がスケスケのシースルー制服を着て現れた時はラインハルトは食べていたザワークラウトを吐き出して、そのまま自室へと逃げ出したほどであった。心配したキルヒアイスが飛んできて、部屋で毛布にくるまっているラインハルトを見つけて励ました程である。
「ラインハルト様!大丈夫ですか?」
「キルヒアイス、俺はあれほどの攻撃を受けたことがない」
「女性が怖いのですか?」
「違う!神聖なる戦場であんな破廉恥な行為が許せんだけだ!」
そう言うラインハルトの顔は青ざめていた。そうであろう、女性の裸など見たことがないのであるから。精々幼い頃アンネローゼと一緒に入ったお風呂で見たぐらいだろう。
それ以降、ヘールトロイダ曹長の誘いはエスカレートして、ラインハルトの引きこもりの日々が続いている。
帝国暦482年10月1
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