781部分:第六十三話 劉備、牧になるのことその六
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第六十三話 劉備、牧になるのことその六
「私の真名だけれどね」
「何ていうの?」
「桃香っていうの」
ありのままだ。名乗ったのであった。
「それが私の真名だから」
「わかったわ。じゃあ桃香」
張角は劉備その真名を実際に呼んでみた。
「またね」
「うん、またね」
こうしてであった。劉備は三姉妹と別れた。お互いに手を振り合ってだ。
黄巾の乱は終わり劉備は晴れて徐州の牧になりだ。すぐに幽州の仲間達を呼んだ。そうして程なくして皆彼女の下に集まったのだった。
「ううむ、想像以上じゃな」
「そうよね」
劉備の前でだ。厳顔と黄忠が笑顔で話をしている。
「桃香殿が牧になるとはのう」
「しかも左将軍にも任命されたわ」
「今では将軍様か」
厳顔は悪戯っぽい笑みも浮かべてみせた。
「大したものじゃ」
「ううん、何か私それでも」
だが、だった。劉備自身はこう言うのだった。
「これまでとあまり」
「変わってはおらん」
「そう言うのね」
「私は私だから」
こう言うのだった。
「そんな。特には」
「いえ、これも全てです」
その劉備にだ。魏延が強い声で話す。
「桃香様の人徳があらばこそです」
「私の?」
「はい、そうです」
こう劉備に話すのだった。
「だからこそ我々もそうして」
「私に。そんな」
「いえ、自信をお持ちになって下さい」
あくまでこう言う魏延だった。
「桃香様は本当に」
「だといいですけれど」
「ですから御自身に対して自信を持たれることです」
また言うのであった。
「桃香様は必ず。天下を治めるに足る器の方になられます」
「はい、それまでね」
魏延の言葉がさらに熱くなろうとしたところでだった。馬岱が言ってきた。
「あんたもう言い過ぎ」
「何っ、私の何処が悪い」
「悪いとは言わないけれど」
「では何だ」
「あんたの桃香様を見る目違うから」
こうだ。いささか呆れながら話すのだった。
「もうね。こんな目になってるから」
「どんな目だというのだ」
「こんな目よ」
実際に今の魏延の目になってみせる。熱くただ一点を凝視している目だ。
「本当によ。どんな目なのよ」
「私がそんな目をしているというのか」
「そうよ。全くあんたはねえ」
「臣下が主に忠義を誓うのは当然のことだ」
「あんたは忠義の限界超えてるから」
そんな話をするのであった。しかし何はともあれだった。
劉備は晴れて徐州の牧になった。それは確かであった。彼女は早速政治をはじめた。それについては孔明と鳳統が言うのであった。
「徐州の人口ですが」
「おおよそこの位です」
「えっ、もうできたの?」
劉備は自分の執務用の机で二人の話を聞いた。そこで言うのだった。
「早いわね
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