捌
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マにお褒めいただき恐悦至極、って言った方がいいか?」
「ハッ、いいね。この状況でそれだけ強がれるなら上出来だ」
獣のように獰猛な笑みを浮かべてそう言ってくるランサーは、この程度の軽口は乗ってくる程度らしい。英雄サマならもっとプライド高かったりしないかなって狙いだったんだけど……親しみやすそうなのが、この状況ではマイナスだ。
さてどうしたものか。笑みを浮かべてこちらを見ているけど、動きは全て把握されている。隠しようもなく影を使って攻撃したから、そっちも監視されているだろう。月が雲で隠れてしまえば把握されずに攻め込めるだろうが、しばらくはそれも望めない。
だったら礼装……ナイフは体に刺して回路の起動を促すためだけのもの。ブレスレット、こっちなら影をすこし込めてあるからうまく使えれば、マルガの踊りを見せる隙を作ることは、あるいは……
「ねえ、提案してもいいかしら、ランサーさん?」
と、そうして自分の手札を確認しているとマルガの方からランサーへ話しかける。
「ああ、どうしたよアサシン。なんか妙な動きを見せたらすぐ首をはねるぞ?」
「分かっているわ、そんなこと。私じゃ……マタ・ハリではこの状況を切り抜けることもできないですし」
「ちょっとアサシンさん!?」
しれっと真名を暴露されてしまい反応せざるを得ない。マルガ、何を考えて……
「そう言うわけで、1つ交渉なんだけれど」
と、そういった彼女は。今日来ていた服装のまま両手を広げて、その提案をする。
「私の脱落と引き換えに、私のマスターは見逃して下さらない?」
驚愕で、何も言えなくなった。
=☆=
召喚された時真っ先に思ったのは、随分と物好きなマスターだな、ということだった。
確かに、聖杯への願いはある。生前手に入れた価値の無い金銀宝石ではなく、お金がなくてもいいから好きな人と幸せな家庭を築きたい、という願いが。だから召喚対象となってもおかしくはないが、実力もなく、一発逆転を狙える技もなく、知名度もない。そんな自分を召喚するとはよっぽどの物好きだなと考えた。
その後視界がはれるまでに思ったのは、もしやそういうことが目的なのだろうか、ということだった。
そんなことのためにサーヴァントの召喚を行う魔術師がいるとは思えないけれど、自分を使って優勝を目指すよりは現実味がある。さてそうだったらどうしようか。相手に令呪がある以上こちらは抵抗することはできないだろう。だったらいっそこちらから行こうか。魔術師、即ち一般人よりもプライドも実力もある立場。であれば、人並み以上の欲望もあるだろう。そこに付け入り、スキルと宝具で魅了して、聖杯戦争が終わるまで現代を楽しませてもらう……なんてのもありかもしれない。
視界
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