捌
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い道な気もするが……父親として、お前の選択を尊重しよう」
そういって父さんは、記憶操作で俺の記憶を一部封印した。
=☆=
マルガをつき飛ばし、槍の先には代わりに俺が入った。思考だけが加速し、それでも異常なほどに早く迫る槍を見ながら、しかし一気に冷静になる。
『普通のことは冷静にならなくてもいい。が、異常事態にこそ冷静になれ』。それが俺の魔術を操る術だと言った父さんの言葉に、スイッチの入った俺は忠実だった。
魔力回路の起動。自傷のイメージでは遅すぎる。自殺のイメージでもなお遅い。故に、右手に握っていたナイフを左腕に突き刺す。
ランサーの顔が少しいぶかしげに歪んだ。それでも槍は一切減速しない。だが魔力回路の起動は間に合った。マルガより少し後ろにいた分、百分の一秒にも満たないだろうが時間を稼ぐこともできた。
ただの人間にはサーヴァントの前に立つことすら自殺行為だ。俺だって、千回やって999回なにもできずに殺される。でも、一回だけなら。全てがうまくいった場合においては。一度きりの切り札もある……!
「Integral……」
呪文とはすなわち自己暗示。故に、今の知識で最も自分に分かりやすい形へ変更する。
己の影が平面から立体へ変わる。こちらへ向かっていた槍の穂先はその内側に取り込まれたが、構わず進んでくる。何かしようとしているとしてもそれを無視できると判断したのだろうか。確かに、人間のすること程度で英霊を傷つけることすら難しい。
正直この魔術属性、使ってると精神の暗黒面に引きずり込まれるし、これで引いてほしかったんだけど……!
「Differential!」
「何ッ!?」
続けての魔術行使。強化や治癒なんかの凡庸的なものを除けば、唯一出来る魔術。幽世の者にこそモロに通じるこの魔術属性、希少すぎて知ってる魔術がなかったからこそ俺のイメージだけで作ることが出来た名前も付けてない魔術。立体を平面へ潰すのではなく、立体から次元を一つ簒奪する。。勢いでランサーも突っ込んできてくれればベスト、武器だけでも奪うことが出来ればベター、一瞬でも引かせられたのならグッド!
それくらいの再び逃げるための時間稼ぎ程度を目的とした一撃は……止まり、槍を引いたランサーによっていともあっさり破られた。
「クソ……Integ」
「二度は喰わん」
喉元に、槍の穂先が突きつけられた。これ以上続ければ間違いなく突き破られる。そうと分かって、そしてその前に恐怖から言葉は止まる。
「褒めてやるよ、坊主。さっきのがもう一瞬遅かったら少なくとも槍は取られていた。オレ自身も危なかっただろうな」
「……そいつはどうも、ランサー。人類史に残る英雄サ
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