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太陽は、いつか―――

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考えてもいなかったイレギュラー。なぜマタ・ハリと共にいるのかを考えれば当然のことでありながら、しかし彼はそれを忘れていた。忘れたかった。
それ故に想定外。そしてそれ故に、彼はこの上なく冷静に、かつ瞬時に状況を判断する。

《マスター……いや、最悪だけどサーヴァント。武器は槍で敏捷はA。ランサーのサーヴァントで間違い。行けるか賭けだけど……!》

異常なまでの判断速度。ランサーはまだ返事をまっており、マルガはその顔を驚愕に染めて振り返る最中。そんな速度で情報を整理しきった彼は、手袋の下の令呪を行使する!

「令呪を持って命じる!逃げるよ、マルガ!」
「え、ええ!」

本当に躊躇うことなく、その命令に二画の令呪を消費する。ランサーのステータス、その敏捷値はAであり、アサシンの敏捷値はEだ。いくらマスターとサーヴァント双方の考えが一致しているとはいえ、令呪一角で埋められる差ではない。最高の状態で二つ消費してギリギリ、その状態でマルガに抱えられてその場を離脱する。

「……返事もなく逃げやがった」
『冷静に判断するには時間が短すぎますね。みだりに出歩いているにしては優秀なマスターのようです』

そして。その鮮やかすぎる離脱にいっそ感心させられてしまったランサーはその場に残り、石を拾いながらマスターと念話を始める。

「しらを切るんじゃなく逃げ出した、ってのもそれなのかね」
『武器を見られている以上一般人であっても、と判断したのでしょう』
「なるほど、だとすれば確かに優秀なマスターだ。サーヴァントの方も警戒すべきかね」
『……おそらく、ステータスからしてアサシンのサーヴァントでしょう』

魔力込みで全て低いステータス。そこからクラスをアサシンだと判断したマスターは少しの間思考し、再び口を開く。

『アサシンで間違っていなければ、一度離脱して姿が見えなくなるのは危険ですね。時間を与えれば与えるほど、相手の手札を増やすことになるでしょう』
「暗殺者相手、ってんならそうなるわな。……んじゃ、このまま仕留めるってことでいいんだな?」
『はい、それで行きましょう。私もすぐに合流』
「やめとけ。アサシン相手にマスターが前に出るとかバカのやることだぞ」
『誰がバカですか!』

結構仲がいい気がする、この主従。

「それに、昨日セイバーとやり合った傷がまだ治りきってねぇんだろ?」
『敵がジークフリートでしたからね。……正直、まだ本調子ではありません』
「そらみろ。んな状態でアサシンの前に自分の体さらすなんざ、さあ殺してくれって言うようなもんだ。……逃げたアサシンの探索は任せた」
『仕方ありませんね……任されました。いざという時手を出せる位置に隠れています』
「ったく、おてんばなのか何なのか……」

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