四話
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立ち上がった月雲帝。
「違う?」
零司は帝へと向き返る。
帝は震える手で銃の側面を支えながら言葉を紡ぐ。
「終わりだ、終わりにしよう、一ノ瀬零司」
「終わり?へっ、命乞いかそりゃあ?」
「それも違う、貴様を罰し終わらせるだけだ」
零司は鎖を掴み嘲笑う
「これは悪手だぜ、『自称正義』」
「悪手だと?では試してみるがいい、『自称正義』」
「ハッ!」
零司は思い切り鎖を引っ張る、無論そのまま銃を離さなければ身体ごと引っ張られ拳が決まる、無論銃を離せばその時点で近距離攻撃に移行、動ける筈もない帝を一方的に嬲り殺す。
零司は右腕に力を込めた。
帝は、銃を捨てた。
零司は笑い、跳躍しよう、
もその場に崩れ落ちた。
「ああ?」
何故か、力が上手く入らない。
「てめぇ、俺に何をしやがった!!」
「ふん、知性があった時の方がまだマシだったな」
スっ、と帝はマントから先程の拳銃の弾を取り出す。
「…『麻酔弾』。貴様の動きを抑えるために使用したものだ」
本来麻酔で身体が動かせなくなるなど、全身麻酔だけだろう。
しかし局所麻酔でも濃度によっては痺れによる、痛み、違和感を覚えることが多くなる。
その結果零司は太腿から薬が溶けて片足を動かせなくされてしまった。
引っ張られた鎖は銃を超え、帝のマントに続いており、
ジャラジャラと鎖が交差する音を立て、物理法則など完全に無視。現れたのは巨大な棘鉄球であった。
明けの明星、フレイル型と分類されるものだ。
本来ならば持ち手の柄から打撃部分を鎖で繋ぎ、重力と遠心力を利用して扱うという武器であるが、帝の扱うこの武器はフェイク。
帝は先ほどと同じようにマントの中でフックショットを放ち、標的を掴むと、マントの中でフックショットの鎖とフレイルの鎖を繋げ、繋げた鎖は決して零司には見えないように側面をもう片方の手で隠し、そのまま鎖はマントへと繋がっている状態に。
本来ならばフックショットという物は『巻き直し』をし、引き寄せる物と錯覚するだろう
しかし撃ち出されたフックショットは実のところ無意味、例え人や壁に爪が引っかかったとしても、人を引き寄せるには多大な力を必要とし、映画のように壁に貼り付くのは、よほど特殊な壁でない限り、人が掴まれる程の重量は耐えられないであろう。
しかし、相手はその多大な力を持った敵である。
わざわざ利き手の肩に爪を引っ掛け、相手に『どちらか』という選択肢を投げかけさせる。
ボロボロの足、立つのがやっとという自分を見て相手は『自分が選択肢を投げかける側』だと思い込む。
それは即ち、『銃を離さずに引き上げられる』か『銃を離し立ったままで出来る他の行動に移行する』か。
先程も
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