第3章 リーザス陥落
第101話 真なる王
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ると言うのか。……『闘神落とし』の異名を轟かせた男にしては 大した手だな……? 底が見えると言うものだ」
薄ら笑みを浮かべ、ノスを挑発するユーリ。……が、決して余裕があるとは言えない。ノスの攻撃の直撃を受けていないとは言え、トーマと言う頼りになる男と共に戦っているとは言え、強大な圧力を常に受け続けているのだから。そして 此処までの戦いでの傷も決して癒えていないのもあった。
「……ふん。先刻は安い挑発に乗ってしまった身で言うのは説得力に欠けると言うものだが、最早儂は主らと遊んでいる暇はないのでな。……時期に、目覚めるのだから。我が絶対の主が」
「なに?」
トーマの言葉に 違和感を覚えた。
先程までの戦いでは、頭に血の登ったノスであった為、凶悪な攻撃も多少なりとも読み易く、戦いやすい状況だった。それでも一撃でも受ければ致命傷になりかねない攻撃にさらされているのだから、そこまでのアドバンテージと言う訳ではないが それでも、まだ暴走してくれる方が戦いやすいと思ったユーリの打算的な挑発だったのだが、ノスはそれに乗る事はしなかった。
ただただ、己の魔力で生み出した骸の戦士達を呼び寄せていたのだ。
「最早、時は来た…… と言う事だ。人間共よ。貴様らの戦いぶり…… 称賛に値する。長く生きてきてここまでもった人間はそうはおらん。……滓を見続けてきたせい、もあるだろうが貴様ら程の人間は稀も稀だ。人間の世界の特異点とも言えるだろうな。……儂の様に、魔人であれば儂にとっての脅威にもなっていたであろう。どうだ? 儂の使途として使えるのであれば 命だけは助けてやるぞ」
それはありふれた勧誘の言葉だ。絶対悪との戦いの前に言うもので 色々な物語ででも出てきている言葉。
ユーリはあまりにも安易なものだと嘲笑した。
「願い下げだ。人として生を受けた。……オレは、最後まで人として 戦い続ける。終わりにまで 目指している先へと行くために」
ユーリは剣を振るい、骸の戦士達の首を飛ばした。首を失っても前進を続ける戦士の身体をトーマが粉砕した。
「儂も同感だ。……人間をあまり舐めるなよ。ノス」
若かりし頃の記憶が蘇ってきたのだろうか、或いは兵を束ねる将軍ではなく一兵士として、一男として最大の相手を前にしているからだろうか、その姿勢はまるで後先考えない無鉄砲な若者とも言えるものだった。
「くくく………。貴様らを放っておけば、我が望みを阻む最大の障害になりかねぬ。死複製戦士共よ。己が身体砕けても、彼奴らを抑えよ。……儂は出迎えに行く。我が主を。……真なる王を」
「っ……!! 王……だと!?」
まるで察しろ、と言わんばかりにノスは続ける。それは もう わざと言っている様にしか見えなかった。
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