第63話『水泳』
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した。
眼前に広がるのは、小学校のとは大違いの広大なプール。正直、遊園地とかに在りそうなレベルだ。事前に水泳部である莉奈から話を聞いていたが、予想を遥かに上回っている。
「短水路も長水路も在るとか、とりあえず凄いな」
「何それ?」
「25mプールと50mプールのことだ」
「なるほど」
伸太郎の知識に納得しつつ、晴登は再びプールを見渡した。
先程説明し損ねたが、伸太郎の言う通り、プールは二種類存在している。小学校でお世話になった短水路のプールと、テレビで見たことがある長水路だ。どちらも10コース以上はある。
「しかも、深さは俺の身長とほぼ同等…か」
「足つったら溺死するぞ」
「凄いリアルなこと言わないでよ」
口々に感想を述べた二人は、クラスで集まっている所に向かう。どうやら、長水路は高学年のクラスが使用しており、一年生は短水路で授業をするようだ。
「あ、ハルト、おーい」
「……っ!!」
晴登は、クラスの女子と集まっている結月の姿を発見する。呑気にも、彼女はフリフリと手を振ってきた。しかし、いつもなら振り返すところだが、晴登はすぐに目を逸らしてしまう。理由は至極単純、結月の水着姿を直視できないからだ。
一瞬でわかる。結月の健康的な真っ白な肌に、スク水はよく似合って……似合い過ぎているのだ。他の女子よりも明らかに目立つ。
「「うぉぉぉぉ!!」」
結月だけに留まらず、スク水姿を晒している女子達にクラスの男子は大興奮。怒る者、恥ずかしがる者、女子達には様々な反応が見られた。
無論、申し訳なさから、晴登はずっと目を逸らし続けている。
そんな晴登の気を露知らず、彼女は話しかけて来たのだが。
「ねぇハルト、どうかな…?」
「あ、あぁ、よく似合ってるよ」
「…? 何でこっち見てくれないの?」
「え、そりゃ・・・」
「『そりゃ、結月が可愛すぎて直視できない』でしょ?」
「莉奈!?」
今しがた晴登の声真似で恥ずかしい発言をしたのは、莉奈だった。彼女はニヤニヤと晴登を嘲笑う。
「そんな…恥ずかしいよハルト…!」
「いや言ってないから!?」
「ダウト。ホントは思ってるでしょ? 私だって、結月ちゃんのスク水姿は可愛いと思うもん」
「う……」
否定ができず、つい言葉に詰まってしまう。その様子を見て、さらに莉奈は不敵に笑った。
「そりゃ晴登も男の子なんだし、仕方ないよねー。もしかして、私もそういう目で見てるの?」
「どういう目だよ!・・・って──」
そこで、またも晴登は言葉に詰まった。莉奈の水着姿を直視してしまったせいだ。
競泳
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