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レーヴァティン
第二十話 新妻その二

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「共にいて下さい」 
 本心からの言葉だった、確かに欲情はある。だがそれと共に久志は相手に受け入れてもらいたいと思った、その為にハンナに己のことを話したのだ。
 そのうえでだ、彼女のその空の色の瞳を見つつまた彼女に問うた。
「宜しいでしょうか」
「はい、私もこれで」
「これで、ですか」
「男であった身で子を産めるのですね」
「!?今何と」
「はい、まだ残っていますが」
 ハンナも正直にだ、久志に己のことを話した。
「私はかつて男でした」
「あの、といいますと」
 久志はハンナの言葉からだ、戸惑いつつ彼女にさらに問うた。
「貴女は以前は」
「そうです、今申し上げましたが」
「男の娘でしたか」
「自然とです」
 ごく稀にだ、久志達の本来の世界でもあることだ。女から男にという逆のケースも存在している。
「なっていきまして」
「それで、ですか」
「声はそうですね」
「はい、もう」
 聞けば聞く程だった、ハンナのその声は。
「女性の、それも奇麗な」
「奇麗ですか」
「そうとしか聞こえません」
 真面目かつ真剣にだ、ハンナに答えた。
「まことに」
「左様ですか」
「本当に」
「それは何よりです」
「声以外もです」
 久志は信じられないという顔のままハンナに話していく。
「お顔も髪も何もかもが」
「女性にですね」
「そうとしか見えないです」
「ですがまだです」
「お身体は、ですか」
「完全に女性にはなっていないです」
 男のものもまだ残っているというのだ。
「なっていっている途中です」
「そうなんですね」
「はい、それでも宜しいでしょうか」
 ハンナは久志のその目を見て彼に真剣な顔で問うた。
「その様な私で」
「正直に申し上げます」
 畏まった態度になってだ、久志はハンナに答えた。
「俺、いや私は同性愛の趣味はないです」
「そうですか」
「ですから今の貴女とそうしたことは出来ないです」
 悲しい顔になってやや俯いてしまったハンナに答えた。
「どうしても、ですが」
「それでもですか」
「女性は好きです、そして」
 ハンナにさらに話した。
「私に全て話してくれた貴女のお心は受けました」
「私の」
「確かに、ですから今は無理ですが」
「それでもですか」
「はい、少し待たせて頂いて宜しいでしょうか」
 礼儀正しく、普段の彼からは想像出来ない物腰で言っていく。
「その時には」
「では」
「はい、私でよければ」
 時が来ればというのだ。
「宜しくお願いします」
「有り難うございます、実は」
「貴女をですか」
「これまで受け入れてくれる方はいませんでした」
 ハンナは自分自身のこのこともだ、久志に話した。
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