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レーヴァティン
第二十話 新妻その一
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           第二十話  新妻
 久志は文字通りすっ飛んでその家の前まで来た、そのうえでその屋敷の正門においてだった。
 人を呼ぼうとした、しかしここでだった。
 門からだ、若い大男が出て来て彼に聞いてきた。
「有栖川久志さんですね」
「ああ、そうだよ」
 久志は大男に鼻息をこれまで以上に荒くさせて答えた。
「話は聞いてるよな」
「奥様にですね」
「会いに来たよ」
「奥井様のお姉様からです」
「話は聞いているか」
「はい」
 その通りだとだ、大男は礼儀正しい仕草と口調で答えた。筋肉質な身体が執事の服に大荒れている。眉は太く唇は厚い、黒髪は角刈りである。
「それでお待ちしておりました」
「そうか、じゃあ早速な」
「是非です」
「屋敷の中にだな」
「お入り下さい、そのうえで」
「この屋敷にいるか」
「奥様にお会いして下さい」
「それじゃあな」
 意気込んだやり取りの後でだ、久志は案内されたがむしろ自分からだった。屋敷の中に入って。
 そしてだ、中に入って言ったのだった。
「お邪魔します」
「はい」
 清らかなうら若き女性の声が返ってきた。
「お待ちしていました」
「おおっ・・・・・」
 久志は出て来た女性を見て驚きの声を挙げた、何とだ。
 見事な、黄金を溶かした様な金髪を長く腰まで伸ばし青く澄んだやや切れ長の目を持っている。面長で肌は雪の様に白い。
 小柄で楚々とした外見だ、白いドレスがよく似合うその女性が久志の前に来てそのうえで彼に言ってきた。
「ハンナといいます」
「ハンナさんですか」
「はい、ハンナ=フォン=アーダベルトといいます」
 こう久志に名乗った。
「以後宜しくお願いします」
「こちらこそ」
 久志も今は礼儀正しく返す、その間も欲望は露わになっている。
「これからも」
「お姉様からお話は聞いています」
「そうですか」
「はい、では」
「これからですね」
「宜しくお願いします」
 微笑んでだ、久志に言った。
「そしてなのですが」
「そして、ですね」
「私で宜しいですね」 
 ハンナは久志の目をじっと見つつ彼に聞いてきうた。
「これから」
「はい、是非」
「そうですか」
「俺、いや私もです」
 一人称も礼儀正しいと思うものに変えた。
「貴女なら」
「そうですか」
「そうです、そしてです」
「生涯ですね」
「私は冒険に出ます」
 このことをだ、久志はハンナに強い声で話した。
「これからも」
「そうされてですね」
「実はですね」
 ここでだ、久志は自分自身のことを話した。他の世界から来ておりレーヴアティンを抜いてこの島ひいては世界を救おうと考えているとだ。
 そうしてだ、こう言ったのだった。
「その私でよければ」

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