暁 〜小説投稿サイト〜
北欧の鍛治術師 〜竜人の血〜
第二章 戦王の使者
戦王の使者T
[4/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
から来ました、アインザック・スミス・フィリーリアス・カタヤです。長いので呼ぶときはアインだとかフィリーリアスで構いません」
超難関高校の受験勉強で青春の一部が潰された少女たちにアインというクラスと心に潤いを与える存在は大きかった。その笑顔に大半の者が心を奪われ、中には?を赤く染めて鼻息を荒くするアブナイ人たちまで出始めた。一瞬でクラス中が黄色い声援で満たされ、人よりも耳がいいアインは内心早くこの空間から抜け出したいと思っていた。
「静かにしろ。まだホームルームは終わっていないぞ。フィリーリアス、お前の席はあの隅の席だ」
「分かりました」
「うむ。ではホームルームを終了する。1限目に遅れるなよ」
千冬はそれだけ言って教室を出た。途端に厳正な空気が崩れてアインの元にクラス中、果ては他のクラスからも人が集まった。生徒が一人一人自己紹介をして、アインと話した生徒たちはみんな揃って俯きがちになって顔を赤くするか酷い者では卒倒して近くにいる友人に支えられるなどしていた。アインはそれに律儀に一つずつ応えたり首肯するなどして反応を返していった。やがてチャイムが鳴り始め、生徒たちは急いで席に着いたり準備を始めたりする。教科担任が来るまでに少し時間があったので誰もお咎めを受けずに済んだ。こうして、アインの転校初日の学校生活は何事もなく平和に終わった。与えられた寮の部屋のベッドに肢体を投げ出しておもむろにため息を吐いた。
「疲れた・・・。二度と関わりたくねぇ・・・」
無論、そんな夢が叶うはずもなくこの生活が3年間続くことを考えて気が滅入るアインだった。それにしてもこのベッドは上質だが枕が変わると眠れない(たち)のアインは寝袋で眠ろうと考えた。
「シャワーでも浴びるか」
ベッドから起き上がり荷物を入れているバッグから着替えや歯ブラシなどの日用品をタンスや洗面台に置いてから脱衣所で服を脱いで鏡に映った自分の体を見た。鎖の形をした紋様が身体中に走っている。これは絃神島での竜化を受けて自身で掛けた封印の一種だった。竜と竜人の体中に疾る魔力回路に沿って敷いた封印で、四肢のブレスレットとアンクレットを触媒代わりにしている。アインは少しだけ封印に干渉してみようかと考え、すぐにその考えを棄てた。以前、効果が出ている事を確認するためにアルディギアで試しに力を入れてみたところ全身が熱した鎖で縛り付けられるような感覚に襲われたのを思い出したのだ。あんなのは二度と御免被ると思いつつ熱いシャワーを浴び、すぐに上がって上裸のまま部屋で瞑想をする。10分程経ったかという頃、ドアがノックされ、アインが背を向けた状態で断りもなく開かれた。
「何か、御用でしょうか織斑教論」
アインは背を向けたまま顔だけをドアの方に向けて言った。
「教師の義務として抜き打ちの生活態度のチェックと言ったとこ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ