769部分:第六十二話 三姉妹、書から離れるのことその六
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第六十二話 三姉妹、書から離れるのことその六
しかし一人だけ違っていた。劉備がだ。車から出てこう言うのだった。
「ここはね」
「ここは?」
「御姉ちゃんは中にいるのだ」
その彼女に関羽と張飛が慌てて言う。
「姉上は中におられよ!」
「武器なしでは危ないのだ!」
「ううん、それはかえって駄目よ」
こうだ。二人の妹に話すのだった。
「歌には歌でよ」
「し、しかし今は」
「とてもそんな状況じゃないのだ」
「歌が好きな人に悪い人はいないから」
「リョウ殿は例外だな」
「あいつは音楽の才能がないだけなのだ」
さりげなくリョウのことも話される。
「とにかくだ。今は」
「物凄く危ないのだ」
「いえ、けれど」
それでもだと言ってだ。劉備は迫る黄巾軍の前に出てだ。
微笑み。そのうえで歌いはじめたのだった。
その歌を聴いてだ。黄巾軍の動きがまた止まった。
「なっ!?」
「この歌もな」
「ああ、いいよな」
「何か。聴いてると」
「落ち着くよな」
「そうだな」
彼等はだ。それまでの野蛮さからだ。元の穏やかさを取り戻して話すのだった。
「何か追い出すとかな」
「馬鹿馬鹿しいよな」
「全くだな」
「それは」
彼等は動きを止めてしまった。そうして。
袁術達もだ。それを聴いてだった。
「いい歌じゃな」
「そうですね。劉備さんの歌ですけれど」
「心に滲み入ります」
二人が袁術に話す。
「黄巾軍の動きも止まりましたし」
「凄いことです、これは」
「わらわ達も歌うのじゃ」
ここで袁術はその二人に言った。
「そうするのじゃ。こんないい歌歌わずにいられないのじゃ」
「そうですね。じゃあ私達も」
「歌いましょう」
こうしてだった。三人も歌う。そして。
「ふむ。これはな」
「そうだな。あたし達もな」
「歌おう」
「そうするのだ」
趙雲の言葉にだ。馬、関羽、それに張飛が続く。黄忠もだった。
「歌は。あまり歌わないけれど」
「けれど。この歌は」
「めっちゃええ歌やし」
「歌わずにいられないの」
楽進、李典、于禁と共にだ。歌いはじめた。テリー達も。
「演奏に戻るか?」
「戦わなくていいんだな」
「あれだけの数でもか」
「じゃあ戦いたいか?今」
テリーは微笑んでだ。こう草薙と八神に問うのだった。
「この歌を聴きながらな」
「いや、それは」
「俺もその気はなくなった」
「そういうことだ。じゃあな」
「戻るか。演奏にな」
「音楽を邪魔することは俺の流儀じゃない」
こうしてだ。彼等も演奏に戻った。ナコルルが言う。
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